完成後にじわじわと売れ完売 堅実な市民性を反映
なぜ北九州のマンションデベロッパーはこの不況でも堅実に経営できているのか。それは北九州地区の市民性を熟知し、その上で地域の住宅ニーズに的確にこたえてきたからだ。住宅を購入する側にもそうした地場デベロッパーの姿勢と実績は認知されている。
こうしたマンション市場の状況にあっては、大手メーカーも物件を供給してはいるものの地場の牙城を脅かすには至らず、他地域からの進出も少ない。この2、3年、広島地区から数社が進出してきたが、いずれも短期間で撤退を余儀なくされた。
地場デベロッパーでなければわからない独特の市場性とは、どのようなものか。そのひとつは立地とニーズとの微妙な相関関係だ。例えば福岡市であれば、天神周辺は都心型、大濠地区や百道(ももち)地区は高級志向、郊外はファミリータイプといったおおまかな区分けがある。しかし北九州地区では、同じエリアでも道路ひとつ隔てることによって売れるタイプが異なるという。その微妙なニーズを読み取れるのが地場デベロッパーの強みとなっているのだ。
また、古くからの職人のまちであることの影響なのか、堅実な市民性はマンション購入の動向にも表れている。福岡地区ならばいい物件は販売開始と同時に次々と売れて行き、完成時には完売というケースもある。しかし北九州地区では、完成前より、むしろ完成後、実際にできた建物を見てから購入するという傾向が強い。出足は鈍くても、いい物件であればじわじわと売れて、いつのまにか完売しているという。デベロッパーの側もこうした傾向に合わせた堅実な販売戦略で臨んでいる。
こうした市場傾向は戸建て住宅においても同様だ。東京経済北九州支社調べの戸建て住宅上位10社は別表の通りだが、この中でも上位はいずれも老舗で、地元のあらゆる住宅ニーズに応じた幅広い仕事で長年にわたり地元消費者の信頼を得ている。またそれに続く業者群では、住宅の品質やターゲット層などでそれぞれが特徴を出し、独自の商品展開によってその分野で確実に実績を挙げている。