福岡地区建築工事業100社の決算分析より4
見通し
「最近では私たちに対する金融機関の融資姿勢が前向きになったような気がします。半年前と比べると大きく変わりました」
これは今春、あるマンションデベロッパーとの会話の中の一部である。実際に不動産バブル崩壊前後より新規のマンション分譲を抑制してきたデベロッパーの新規物件への着手や計画も聞かれるようになった。値引きや各種サービスなどを活用した各社の取り組みもあって完成在庫が大幅に減少したことも大きな要因であるが、資金調達面での課題のクリアもあるようだ。さらに企業により格差は大きいものの各専門下請け工事企業からも工事量の増加や受注予定物件の増加、見積もり依頼の増加なども聞かれるようになった。
また、本誌「スペシャル対談」の中でも話題となるとともに「改修・リフォーム特集」としてまとめたが、多くの企業が力を入れているのがマンションやビルなどの「大規模改修工事」そして「リフォーム工事」である。
一言に「大規模改修工事」といっても外壁や屋上の防水工事から耐震補強工事、給排水管工事、全国的にみるとオール電化やエレベーターの増設などの改良を加えるマンションもあるようだ。マンションを適正に維持し快適な居住と有効な資産価値の維持には防水工事をはじめとした改修工事は不可欠である。また、給排水管工事については、一般的なマンションの排水管には硬質塩ビライニング鋼管が使用されているが、鋼管内にライニングされている硬質塩ビが年月とともに劣化し鋼管内にサビなどが発生、25年から30年程度での修繕が必要ともいわれており、この時期に差し掛かっているマンションも多く見られる。
前述の通り環境的には今後への期待要素も出てきている。また、これまで培ってきた技術力やノウハウを生かし、マンションやビルなどの大規模改修工事に意欲的な姿勢を見せる企業も多く見られるようになった。ただし、いまだ受注環境に本格的な力強さは感じられないと共に流動的な一面もある。今回の対象となった企業の中にも資金面に不安を抱える企業や技術面などに賛否両論ある企業も見られる。これまでの実績から施主との信頼関係ができている企業とそうでない企業、資金力を有する企業とそうでない企業、自社の特色を理解し生かすことができる企業とそうでない企業、生き残りをかけた戦いはさらに本格化するものと見られる。
各社の過去3期の業績や財務状況などを取りまとめたデータブックを作成しました。詳細は弊社担当者までお問い合わせください。
※対象決算は2009年4月期から2010年3月期
※対象エリアは福岡県福岡市、糸島市、大野城市、春日市、太宰府市、筑紫野市、古賀市、福津市、宗像市、筑紫郡、糟屋郡
※ランキングは土木工事などの各種工事や兼業を含んだ総売上高をもとに算出


2009年度(対象・2009年4月期―2010年3月期決算)の福岡地区建築工事業100社の総売上高は2,394億3,669万円となり、2008年度の2,714億7,269万円より320億3,600万円(11.8%)の減少となった。また、昨年に続きトップとなった九鉄工業(株)がJR博多駅などの九州新幹線がらみの工事需要により、前年度比106億円超の増収となったことが全体の落ち込みをカバーしている一面もあり、同社を除いた99社の合計でみると2008年度比426億5,765万円(17.4%)の減となった。