中四国地区の主な倒産を振り返る
【7月 老舗業者の倒産】
7月に入り、倒産が相次いだ。
明治43年創業の中川木材㈱(広島県三原市)が、10億1,000万円の負債を抱え破産手続開始の申立を行った。債権者数は110名にのぼる。当社は地元備後地区を中心としたエリアで、建設関連業者を対象に木材や建材の販売を行ない、その永年の実績により、地場トップクラスに数えられるまでに成長を遂げた。本業以外にも、ホテルやキャンプ場の経営を行う等、事業を多角化。その一方で積極展開のツケが重荷となり、収益面を圧迫した。平成9年7月にはホテルを売却し、リストラによる立て直しを図るも、日には広島地裁福山支部に和議を申請し再建を続けていた。しかし、近時の景気後退の影響で、先行きの見通しが立たなくなり、事業継続を断念した。
管工事の老舗㈱西備(広島県福山市)が破産手続開始の申立を行ったのも7月であった。
当社は、昭和2コン筋や地場大手企業の下請けを中心とした受注基盤を構築し、ピーク時となる平成4年9月には10億円を超える売上高を計上。しかし、業界不況の波には太刀打ちできず、近年は減収推移で赤字に転落。売り上げ規模はピーク時の5分の1にまで減少しており、限界に達した。 また、同じく備後地区の老舗、原田建設㈱(広島県世羅郡)が事業を停止。事後処理を弁護士に一任し、破産手続開始の申立を行った。
当社は、業歴50年を数える業者で、世羅郡や尾三地域事務所発注の公共土木および舗装工事を主体とした受注基盤を構築。しかし、広島県の北東部に位置する、もともと民需の少ない地域であり、受注環境は厳しく、近年は減収で推移。有利子負債は年商並みに達しており、厳しい経営を強いられていたが、力尽きた。
広島市内では、老舗地場ゼネコンの日成建設㈱が広島地裁に破産手続開始の申立を行った。
昭和21年9月設立、同45年には広島市安佐地区で1,000区画規模の宅地開発および分譲を手掛け、地場中堅の業者に数えられるようになっていた。また、関東地区へも進出するなど、エリア拡大による積極展開を行い、平成9年3月には過去最高の80億9,800万円内外の売上高を計上。しかし、その後は市況低迷により業績は悪化し、同15年6月、社長が責任を取り辞任した。
一方、同年8月には不動産部門を分割すると同時に主力銀行からの出向者を迎え、金融機関主導の立て直しを図ってきた。出向者が退出して以降、独自に再建を続けるも、資金繰りは逼迫し支払い遅延が慢性化。対外的な信用も低下する中で、先行きが注目されていたが、限界に達した。
【9月 ホテル業界も業況厳しく・・・】
昭和46年3月に設立した㈱岡山国際ホテル(岡山市中区)が、岡山地裁に対し民事再生手続開始の申立を行った。負債総額は14億3,900万円内外にのぼる。
岡山国際ホテルの名称で事業を開始。地元財界の出資を受け“迎賓館機能を持つ高級ホテル”をコンセプトとしたグレードの高い経営を続けてきた。平成18年4月にはホテルオークラのチェーンに入り、同19年10月には「ホテルオークラ岡山」へと名称を変更した経緯を持っており、岡山市では相応の知名度を有するホテルへと成長を遂げてきた。しかし、長引く景気後退の影響で利用客は減少。また、宴会部門など当ホテルの利用を継続してきた企業も、経費削減を強いられており、客単価は低下していた。同22年3月期には3億円内外の大幅赤字決算となり、債務超過に転落。経費削減策等、自助努力による立て直しを図るも、根本的な解決には至らず自力再建を断念した。
㈱シモカネ(山口県下関市)が山口地裁下関支部に破産手続開始の申立を行い、49億3,000万円内外の負債を抱え倒産。
昭和26年創業の当社は、もともと金物販売を行ってきたが、時代の流れとともに家電製品の販売および住宅設備機器の販売へと主軸を移行させ商社へと転身。平成14年頃からはインターネットを活用した商品販売に参入し、同1は97億円内外の売上高を計上するまでに成長。好調な業績を背景に、不動産投資にも進出し業容を拡大した。しかし、この動きにより有利子負債は45億円規模にまで膨れ上がっていた。近年では景気の後退も進み、好調な動きをみせていたインターネット販売の売上が激減。同22年1月期の売上高は60億円内外にまで減少し赤字に転落していた。厳しい経営が続く同21年末頃には取引先への大口焦げ付きが発生。金融機関に対し返済のリスケジュールを申し込むとともに、山口県中小企業支援協議会を介した再建に取り組んでいた。先行きが注目される中、同22年7月の決済が不調に終止し、資金的な限界を迎えたため法的手段に踏み切った。
【9月 国内初、金融機関の倒産】
通算業歴112年を数える老舗業者の㈱井東船具(広島市南区)が事業を停止し、広島地裁に対し破産手続開始の申立を行った。
船具用品や塗料、金物など造船関連商品の取り扱いに加え、カキ養殖用資材の販売も行い、地元業者を中心とした基盤を構築。永年の実績により、地元業界内では相応の知名度を有する企業であったしかし、業績は厳しく過去から取引先が当社所有の不動産に担保を設定するなど、与信面では今一歩の状態。造船業界やカキ養殖業界の市況も厳しく、その影響により当社も資金面、財務面ともに軟化が進んでいた。
備後地区では老舗で地場上位に数えられる佐竹工業㈱(広島県三原市)が広島地裁尾道支部に対し破産手続開始の申立を行った。帝人㈱や東中国菱重興産㈱など大手企業からの受注基盤を構築してきた。しかし、近年の厳しい業績を強いられる中、平成18年6月期には過去の粉飾決算が発覚し与信が低下。その後も業界市況低迷の影響から連続赤字を計上する等、厳しい経営を強いられ、限界に達した。
中四国地区以外であるが、日本振興銀行㈱(東京都千代田区)が民事再生手続開始の申立を行い、国内では初となる金融機関の倒産へと至った。 また、東証1部上場の㈱武富士(東京都新宿区)が負債総額4,336億円内外の負債を抱え会社更生手続開始の申立を行ったのも昨年9月。厳しい市況はついに金融機関の破綻といった事態を引き起こした。
【10月 違法行為の果てに】
㈲イッシンランバー(広島県廿日市市)が広島地裁より破産手続開始の決定を受けた。
もともとログハウスの建築工事を主体としていたが、平成12年頃より健康食品の材料となる自社ブランド健康食品の“サンモリンガ”の販売を開始し業容を拡大した。しかし、この“サンモリンガ”の販売に関し、医薬品販売の許可を得ずに「がんに対する科学的予防能力剤」とうたったことが薬事法違反となり、同2神奈川県警に逮捕される事件が勃発。これにより対外的与信は著しく低下していた。なお、同製品はインターネットを通じ、5年間で約600人に販売され、4,000万円内外の利益を得ていた。
メッシュ金型工事、建築用金物販売の㈱西部ニチラス(松江市)が従業員を解雇し事業を停止した。
㈱ニチラスの指定工事店として山陰地区で稼働を続ける一方で、平成1㈱関東ニチラスを立ち上げ販路を拡大してきた。しかし、建設業界市況低迷のあおりを受け業績は悪化。多大な有利子負債の負担も重く、事業継続を断念した。なお、当初は法的申立を行う方針であったが、自社で請け負った現場が残っているため、裁判所に対する破産手続開始の申立は取りあえず見送り。現場を完成させた後に、法的手段による清算を行うとしている。また、当社の倒産に際し、取引先との不明瞭な手形操作が行われていた模様で、これらの業者は後に手形決済が不調に終止。当社倒産の波紋が広がっている。
【11月 エコ分野でも大型倒産】
㈱ジュオン(広島市安佐南区)と、その関連㈱コスモエース(同所)が事業を停止し、事後処理を弁護士に一任した。
木材製材時にこれまで廃棄処理されていた間伐材から特殊水溶液を抽出し、これを排気ガスに混合させ浄化させるという画期的な環境機器を開発。この技術は特許を取得しており、技術力には定評がある。本店以外にも東京事務所を設置し、関東エリアを中心とする受注基盤を構築してきた。平成21年1月には総事業費29億円を投じ、広島県庄原市に木質バイオマス活用利用施設を建設。農林水産省の地域バイオマス活用交付金を利用し資金を調達したが、当初予定通りの交付が受けられなくなり、資金面に狂いが生じていた。近時、新たにコーヒーショップで廃棄される“コーヒー豆のカス”に着目し、これらを特殊な方法で固めたコースターの製造や、新たなエコ商品の開発による新規事業を計画するなど、積極的な経営姿勢に変化はみられなかった。同22年4月には、上記施設の一部稼働を開始。同23年4月の全面稼働を目指していたが、資金面での限界を迎えた。なお、当初破産手続開始の申立を行い、法的な清算を行う方針であったが、行政関連の交付金を受けての事業であったため、地元行政から事業継続を求める声が上がっている様子であり、現在調整中と聞かれる。
㈲廣重機工業(山口県周南市)が6億円内外の負債を抱え事業を停止。破産手続開始申立の準備に入った。
昭和54年4月創業の当社は、ゼネコン筋や地場中小建設業者を対象とした受注基盤を構築し、解体工事をメーンに稼働。本業に関連して、産業廃棄物のリサイクル施設を建築。その他、本社事務所の新築、賃貸用ビルの購入など、積極的な展開で設備投資を行ってきた。しかし、その分、有利子負債が増加し借り入れ負担が経営を圧迫していった。平成1期は公共施設の大型解体工事が寄与し、過去最高の10億4,570万円内外の売上高を計上していた。しかし、同期は国税局の税務審査により2億円を超える追徴課税を計上し、1億6,282万円の大幅赤字を計上。2億1,676万円の債務超過に転落し、厳しい経営を強いられていたが、限界に達した。
【12月 商業施設も競合激しく・・・】
“米子しんまち専門店街”の運営を行う米子近代開発㈱の負債を抱え民事再生手続開始の申立を行った。 同専門店街はテナント店数61を数え、平成6年2月期には39億円内外の売上高を計上していた。しかし、同業他社の大型商業施設進出により客足は減少。撤退する店舗も増加し、それに伴う敷金返還が収益を圧迫。新規のテナント店の家賃も減額せざるを得ず、厳しい経営を強いられていたが、限界に達した。
平成21年12月に中小企業金融円滑化法(通称モラトリアム法案)が、同23年3月までの期限付きで施行。金融機関への借り入れ元本および利息返済の猶予という選択肢が法的に認められる状態となった。 同法案の施行以来、平成2日までの中国地区管内42金融機関(地方銀行9、信用金庫22、信用組合11)での対応をみても、各月末までの申込件数(累計)に対する実行の割合は上昇し、審査中の案件処理の迅速化が進んでいる。同22年9月期時点で申込件数6万8,383件に対し実行件数は6万1,234件で実行率は89.5%にまで高まっている。
こうした背景もあり、倒産の件数は減少傾向で推移。同22年12月14日には金融庁が中小企業金融円滑化法の期限を1年間延長することを正式に発表しており、金融債務の返済再開について、取りあえず先送りされた格好となった。 ただし、景気低迷が続く中で、延長された期限が到来するまでに、各中小企業が経営および返済能力の改善につながるかどうかについては、いまだ不透明な状況と言わざるを得ない。

【4月 倒産件数は減少】
【1月 件数は横ばいながら大型倒産も】