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2006年04月18日

倒産の基礎知識

もしかしたら「成功した」というよりもよく耳にしているかも知れない「倒産した」について、
知っておきたい基礎知識を紹介します。


倒産とは?

企業にとって「死刑宣告」に等しいと目される倒産ですが、
法的にはどのような意味を持つのでしょうか?


倒産という法律用語はありません。
一般に倒産とは、企業が資金決済できなくなる状況、いわゆる資金ショート。
弁済不能に陥り日々の経営が立ち行かなくなった状態を指します。
重要なのは倒産後の処理で、債務者と債権者の双方にとって
最も適切な処理がなされなければなりません。
法律が整備されているのも倒産後の処理についてです。


「倒産」。
企業にとって最も恐ろしい響きを持った言葉ではないでしょうか。
倒産という言葉にぎょっとしない企業人はいません。
倒産とは何か。
倒産にはどのような処理方法があるのか。


倒産の基礎知識

倒産と一口に言っても、その原因、資産負債状況、債権者の規模、再建の見通しなどはさまざまです。
これを処理するための利害関係の調整、すなわち倒産処理が必要となります。
倒産処理に関する各手続きの流れを把握するとともに、
各手続きの特徴を他の手続きと比較しながら把握することが大切です。


法的整理と私的整理

【形態別特徴】
内整理とは
会社更生とは
民事再生とは
会社整理とは
破産とは
特別清算とは

法的整理と私的整理

企業が倒産状態に陥ったときにとられる方法の一つは法的整理と、もう一つは私的整理である。
法的整理とは、債権者または債務者(取引先)が裁判所に対し、一定の法的手続きを申請し、
裁判所が選任した人(管財人)によって債務者の再建または清算手続きが進められることをいう。

法的整理はさらに、再建を目的とする整理と清算を目的とする整理に分類される。
前者は、和議法(廃止)に代わる民事再生(民事再生法)、会社整理(商法)、会社更生(会社更正法)で
あり、後者は、特別清算(商法)、破産(破産法)を指す。いわゆる「倒産5法」。


これに対して、私的整理とは、裁判所の手をかりずに主に債権者の一部が中心となって、
任意の方法で債務者の債権や清算にとりかかることを指し、任意整理とか内整理とも呼ばれている。


両社の相違点は、要するに裁判所(法)が関与するかどうかにかかっている。
法的整理は、特に企業の再建に活用されている。
企業の再建は、清算の場合と異なり、事業継続の運営面に問題があるため。


私的再建のやり方としては、

[1] 資金不足を回避して手形のジャンプ(支払期限の猶予)を行い、
旧会社のままで取引を継続させる内整理方式

[2] 旧会社は倒産させ、新たに第二会社を設立し、
その第二会社が旧会社の債務を引き受ける第二会社方式


があるが、いずれにしても、再建のポイントは、債務の免除と協力スポンサーの支援による。
ところが、私的再建による場合は、ゴネ得的債権者や支援の美名にかくれて自社に有利回収を図る
スポンサーが現れたりする。


それは、私的整理には法的拘束性がないので厳正な立場からの
管理・監督者に欠けるということになる。
特に債権者が錯綜し、金額も多額に及ぶケースにあってはこれらの欠点が如実に表れる。

内整理とは

目的と性格
法律上の手続きによらないで、当該企業と債権者双方間で自主的協議を図り、
負債整理並びに更生策についての計画を作成して企業の更生を図るもの。
古くから慣行されている一種の裁判外の私的和解と解される。


特 色
法的手続きによらない私的救済措置。負債整理に関する基本契約の成立には、
実際上、債権者全員の同意を要する。


効 果
私的和解契約であるため、その効力については民法等の一般原則のよることとなる。
従って上記債権者集会に出席しなくても法律上、債権者として何らの権利も失わない。


利点、問題点
裁判所の監督等の煩雑な手続きが避けられ、経費もかからない。
また、破産状態にあることが表沙汰にならない。
反面、法的強制力を伴わないだけに、現実にはいわゆる「内整理崩れ」の破産申立も相当多い。

会社更生とは

目的と性格
経営が破たんに頻した株式会社について、株主をも含めすべての関係人の参加を求め、
管財人の指揮のもとでその利害を調整しつつ、負債の整理、弁済方法、資本の変更、
社内改造等に関する更生計画を作成し、企業の事業を継続させながら、
その実行を確保し更生を図るもの。
和議(平成12年3月末廃止)、会社整理等の規定の不備を補正するため、
アメリカ連邦破産法に範をとり戦後法定された。


特 色
・会社の業務執行権はすべて管財人(手続き開始決定までは保全管理人)に移行。
・更生手続きに入るまでのつなぎ融資等については共益債権として優先弁済権を付与するなど事業継続に 配慮。
・再生計画は次のようなグループ別の法定多数で成立。
【更生担保権者】
 期限の猶予だけの時 ・・・・・・・・・ 担保権総額の3/4以上
 債権の切捨てを含む時・・・・・・・・ 担保権総額の4/5以上
 清算を内容とする時 ・・・・・・・・・・全 員
 更生債権者(一般債権) ・・・・・・・・債権総額の2/3以上
【株 主】 ・・・・・・・・ (債務超過の場合、議決権なし)

更生計画の及ぶ効果は、民事再生、会社整理等と異なり、一般債権者の他担保権者、
株主や租税債権にまで及び、各種手続き中最も強力。


効果、問題点
担保権実行や租税請求権も阻止できるので更生がやりやすい。
また、株主も手続きに参加するため、新株発行、減資、取締役更迭、新会社設立等が容易になしうる。
その一方、手続きが煩雑で、手続き開始までに日数がかかる上、株式会社以外には適用されない。

民事再生とは

目的と性格 
民事再生法は、これまでの和議に代わる再生形の手続きである。
主に経営難に陥った企業や生活困難になった個人が、経営や生活の立て直しを図るにあたって、
使いやすい再建手続きといえる。
現代のスピード経営の時代にあって、再建型の処理を選択しても、処理のスピードが遅ければ
優秀な人材や営業継続のための資産も流出してしまう。
目的は、有用な経営資源の有効活用と、事業に失敗した経営者らの再挑戦の容易化にある。


特 色
和議法に代わる簡易な再建手続き。
従来までの和議法は、手続きが複雑で、時間がかかるばかりか費用もかさむことが多かった。
民事再生法は、簡易な手続きによって再建の道を開く、より利用しやすい法律。


傷が浅いうちに、手続きにのっとって裁判所の監督のもとで再建できる。
従来の和議は破産状態(支払停止か債務超過)に陥らなければ、
裁判所に申し立てが出来なかったが、民事再生法では
「将来において円滑な支払が困難と認められるような場合」には、
その時点から裁判所に申請することが出来るようになった。
開始原因が緩和されているため、傷が浅いうち、つまり破産などの場合よりも
負債が少ない状態で、手続きを開始することが出来るので再建がしやすくなった。


会社・個人事業者のみならず、一般個人も対象となっている。
このため、いわゆる消費者破産の代わりに、再生手続きによって再建を目指すことが出来る。


再建計画の議決(多数決)についても、従来の和議は3/4以上の賛成が必要であったが、
民事再生法では出席者の1/2以上で足りるとされる。
50%未満の債権者が再建に反対しても、再建は不可能ではなくなった。


再生計画認可後は、この計画に基づいて、債権者による強制執行が可能になる。
和議手続きにおいては、和議計画が認可され、債務者が計画通りに義務を履行しなかったとしても、
実効性のあるサンクション(処罰、制裁)がなかった。
再生手続きにおいては、再生計画通りに履行されなければ、
債権者が強制執行を行うことが出来るため、
債務者が真摯かつ誠実に義務を履行することが予測される。


効 果
・他の手続きの中止命令
裁判所は、再生手続きの申し立てがあった場合には、利害関係人の申し立てか、
または職権によって、申し立てについての決定があるまで、再生債務者の財産関係の訴訟手続きや、
既になされている再生債務者の財産に対する強制執行の手続きの中止を命ずることができる。
この命令によって、強制執行などによって財産が処分されるのを防ぐ。


・包括的禁止命令
裁判所は前述の中止命令では再生手続きの目的を充分に達成できないとき、
利害関係人の申し立てか、または職権によって、申し立てによる決定があるまでの間、
すべての再生債権者に対して強制執行などの禁止を命ずることができる。
既になされている強制執行などがすべて禁止・中止されることになり、
債務者の全財産が確実に保全される。


・競売手続きの中止命令
裁判所は、一般の債権者の利益に適合し、かつ競売申立て人に不当な損害を
及ぼす恐れがないときは、利害関係人の申し立てかまたは職権により、
抵当権などの担保権の実行としての競売手続きを、相当な期間中止することを命ずることができる。


・仮差し押さえ、仮処分など
裁判所は、利害関係人の申し立てか、または職権により、再生手続き開始の申し立てについて
決定があるまでの間、債務者の業務または財産に関して、仮差し押さえや仮処分、
その他の必要な保全処分を命ずることができる。


・監督命令、保全管理命令
さらに裁判所は、必要があると認めるときには監督委員による監督や、
保全管理人による管理を命ずる処分をすることができる。

会社整理とは

目的と性格
株式会社が破産を避けるため、裁判所の監督のもとで(管理人、整理人が選任される)
全債権者と話し合いのうえ再建案(整理案)を成立させ、負債の整理、資本の調整、
社内改善等を行いつつ再建を図る。


特 色
負債整理を一般債権に限るか、担保権者、株式まで及ぼすかは当事者の任意にまかされる。
整理案の成立には債権者全員の個別的承諾を要する(同意しない少数の債権者については、
これらの権利変更を除外することについて多数債権者が同意すれば可)。
株式会社に限って認められる法的整理であり、整理の見込みがつかない場合、
民事再生または破産へ。


効 果
管理人が選任されない限り、企業は財産管理処分権を失わない。
一般債権者のほか、優先債権者や担保権者も承諾を与えた条件に従って整理案の拘束を受ける。


利点、問題点
整理案の成立には裁判所の認可を要しないほか、関係人集会の開催、債権の届出、
調査などの手続きも法的に強制されず、弾力性を有する。
非協力的債権者を多数決で押し切ることが出来ないため担保権者や
優先債権者の協力がないと利用しにくい。
管理人の選任が義務付けられていないため、経営責任の追求が曖昧になる傾向。

破産とは

目的と性格
企業等が事業を解体清算せざるを得ない場合、裁判所の破産宣告により
その一切の財産を破産財団とし、破産管財人がこれを換価処分し、
債権者に対しその債権額に応じて公平な弁済を行う一般的強制執行手続き。


特 色
会社更生、民事再生、整理と異なり、企業の解体清算を目的とする処理方法。
破産宣告の効果は担保権に及ばない(担保権者は個別に強制執行できる)。
申立権者は、債権者、債務者。


効 果
債務者は財産の管理処分権を失い、破産管財人が破産者の財産を換価処分。
担保権者を除いては債権者は個々に強制執行をなし得ない。
なお破産制度の利点としては、多数の債権者からの個別訴訟、強制執行の追求から
免れ得る点にあるが、反面、手続きに多くの日数と多額の費用を要し、
応々にして債権者は満足な弁済を受けられない場合が多い。

特別清算とは

目的と性格
債務超過に陥った株式会社のほか、清算中に株式会社で通常の清算ではうまくいかない場合、
破産手続きによらず裁判所の監督の下で債権者の相互協定により円満に清算するための制度。
破産の弊害を防止し債権者、株主の利益を保護する目的で立法。


特 色
清算人(会社代表者)が立案した協定条件は、債権者集会で出席者の過半数かつ債権者が
3/4以上の者の同意で成立。
特別清算の効果は一般無担保債権者に限られ、担保権者には及ばない。不成立の場合は破産へ。


効 果
協定条件が成立すれば、協定条件に関与しない債権者およびこれに反対する少数債権者をも拘束し
清算が進められる。ただし担保権者は拘束を受けない。
会社更生が企業の再建を目的とするのに対し、特別清算は企業の解散を前提とする処理方法。
最も両社は破産(強制執行)防止という点では類似の性格を有する。