「博多阪急の店づくり戦略を大胆予測」12
九州の各百貨店、専門店ビルは優秀な販売員を確保するために、取引先、メーカーと今から交渉を行い、流失防止を行うことが急務といえる。
博多阪急は新戦略、新施策で出店1年前から展開してくるであろう。これまで、流通業界は『「天神地区」対「博多駅地区」』との戦いとわれてきたが、新博多駅ビルオープン後は九州全域を巻き込んだ『「福岡天神・博多駅」対「九州地方都市」』の構図になり、福岡市へ人が集まれば、天神地区が受けるダメージより地方都市の方が大きくなるかもしれない。九州流通戦争に打ち勝つために、博多大丸は各部門間で阪急対策の構築と優秀販売員確保の施策などが練られているようだ。井筒屋は固定顧客拡大のため、小倉本店で全員女性(25名)だけの「レディ営業部」を組織化し顧客の深耕をスタート。小倉駅前コレット店では、会員2万人を目指し現金専用ポイントカード「コレットクラブカード」を発行するなどいろいろな対抗策が練られている。
結論として、九州各百貨店・専門店ビルは新博多駅が、大きな脅威となることを再認識し、「新博多駅商業ビル対策」を今秋までに構築し実施しなければ「負け犬」となると予測される。
九州経済倶楽部 幹事長 正木 寿郎 氏
(『九州経済倶楽部』は、地元のマスコミ、金融、流通、エネルギー、製造業などの個人会員で構成されている提言団体。正木氏は2008年7月幹事長就任)

現在、地元百貨店カードのポイントや値引きの特典は、岩田屋の100円につき5ポイント付加、三越福岡店の5%値引き、井筒屋の100円につき3ポイント付加、博多大丸の100円に付き1ポイント付加となっている。博多大丸はポイント付加が一番少ないのに健闘しているのは、ゴールドカード顧客を家庭訪問し、電話で催事などの案内を行い、来店促進活動を行う顧客開発部という女性部隊(パート組織)を持つからだといわれている。
1997年秋の三越福岡店は開店当時、外商部は設立していなかった。理由は、西鉄天神大牟田線西鉄福岡(天神)駅やバスセンターと併設するターミナル百貨店であったことや、当時は福岡玉屋(1999年閉店)・博多井筒屋(2007年閉店)を含め福岡市には4百貨店が営業し、新規参入の三越福岡店が外商部を開設しても、福岡市内百貨店には強い基盤の外商部があり、富裕層の顧客獲得は難しいと考えられたからだ。
博多阪急の営業初年度の売上高は400億円(売り場面積4万平方㍍)を見込んでいるが、この数字は昨年秋、米国のリーマン・ショック前に発表された数字であり、現在の福岡市内百貨店の売上高を参考にすれば、かなりハードルが高い数字だ。
九州新幹線鹿児島ルートが全線開業する2011年春、新博多駅ビルに、高島屋およびエイチ・ツー・オーリテイリング傘下(2011年経営統合予定)の「博多阪急(仮称)」が開店する。J.フロントリテイリング傘下の「博多大丸」、三越伊勢丹ホールディング傘下の「岩田屋」と「三越福岡店」が営業している福岡市は、地方で唯一、全国3強百貨店が激突することになり、九州地方百貨店の井筒屋(北九州市)、山形屋(鹿児島市)、トキハ(大分市)、鶴屋(熊本市)なども、このあおりを受けることは間違いない。