真っ暗闇の中にひと筋の光明「あと1年」耐えられるか?10
国や自治体に前倒し発注を望む声も
こうしたケースのように、不況によって生まれる状況を巧みに利用して自社の業績につなげることは、すべての業者に可能なことではない。それは淘汰という痛みが一方で伴うということを意味する。もともと、公共事業の総量が将来的に減り続けることなどから、日本の建設業者は大きく数を減らす方向にある。行政でもそうした方向を見据えて業種転換を促進するなどの方針を出している。しかし「現在の業界で生きていけないところが、業種転換を成功させる力を持っているとは思えない」(建設業幹部)というのも当然の見方だ。
民主党の新政権では、当面の緊急性のない予算の執行を停止することで各省庁で検証が始まっている。建設業界においては、逆に「将来予定しているものがあれば、いまこそ前倒しして発注してほしい」と訴える声も多い。国だけではなく、自治体レベルでも同様で、福岡市が抱えているアイランドシティ関連の新規案件などの、前倒し発注が求められる。そのことが地元の建設業界にとって「あと1年」の辛抱を後押しすることにもなる。そうした地元企業の声を、自治体トップは拾いあげてほしいものだ。

ただ、現状がかなり悪いとこまで落ちてしまっていることを考えると、決して多少の兆しでは本格的な回復に向けては不十分。特に金融・資金繰りでは、緊急特別保証制度を利用することで生き延びている企業が非常に多いという実態があり、その返済が10月ごろから始まる。「特別保証制度で調達した資金が底をつき、さらに返済が始まることで、一層の資金繰り悪化も懸念される。同友会としては、地域の金融機関に対して地域経済・雇用を支えるという観点から地元企業への支援姿勢の改善を以前から求めているが、この時期こそ金融機関に貸し渋り、貸しはがしなどがないように要請したい」(同・中村室長)という。
今後の見通しについては、どうか。福岡県中小企業家同友会の調査では、7~9月期について各業種とも大幅に景況感が改善するという予想となっている。あくまで予想であるため、希望的な要素が大きいこともあり、この予想通りの状況になることは難しいと思われるが、それでも同事務局では「一部に底入れの兆しあり」と分析している。

エコカーブームによる自動車の増産などによって、景気の見通しに明るさが見えてきたといわれる。しかしそれは大手企業レベルの話であり、九州・福岡の地場企業までは、その効果はまだ届いていない。