絶対数不足に陥る「老人介護・福祉施設」優良事業者の育成が急務3
それでは、こうした危機的状況にどう対処したらいいのか。政府は在宅化を進めることで施設不足を補おうとしているが、老人介護施設の現場からは「在宅では無理」と断言する声が聞かれる。それはすなわち、60代の子どもが80代の親を看るというような「老老介護」となるのが現実であり、しかも認知症を伴うケースが増える中で、在宅での介護は現実には不可能だというのだ。
そうなると、残された道はひとつしかない。老人介護福祉施設を増やすことだ。しかしこれも一朝一夕にはいかない。介護の現場ではいかに意欲があっても、労働条件や給与面の整備が追いついていない。政権与党となった民主党は介護職員の給料の月額4万円アップをマニフェストに掲げているが、その効果を最大限に生かすには、介護従事者に働きやすい環境を提供できる優良介護福祉事業者の育成が急務だ。
医療費や介護保険費用の抑制にとらわれるあまり、現実との乖離(かいり)が広がってしまった老人介護福祉のひずみを正すために、行政と意欲ある民間事業者のさらなる連携強化が求められているのだ。

2012年に大量の『介護難民』発生か―高齢化の進展とともに多くの課題を抱えている老人介護福祉に、さらに大きな難題が迫っている。2006年に決定した医療制度改革のひとつとして、2012年度までに病院の療養病床・介護病床を大幅に減らし、介護療養型老人保健施設に移そうというのだ。その数、23万床。それでなくても特別養護老人ホームの待機者数は全国で40万人にものぼるといわれている。老人介護・福祉施設の絶対数がいよいよ足りなくなるのだ。