県外企業の進出で出展ラッシュ 生き残りをかけた激しい顧客獲得合戦に勝利するのはどの企業か?16

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■新幹線で手軽に福岡へ めまぐるしく動く鹿児島の流通業界
九州新幹線全線開通により、最短で福岡まで1時間20分で結ばれる事となり、鹿児島地区はますます福岡が近くなるといえる。同時に、新博多駅ビルが完成し、核テナントとして阪急百貨店がオープンする。その意味で、鹿児島から福岡へ移動する買い物客の数は確実に増加しそうである。
加えて県外業者の相次ぐ出店から、地場の流通業界をめぐる環境はめまぐるしく変化してきており、その激戦を勝ち抜くのはどの業者なのかに注目が集まっている。
鹿児島地区の流通業界は、淘汰、再編を含め今後、激動化する様相を呈している。
今般、きたやまの新店舗建設計画が発表された。出店場所は鹿児島市東開町。それまで「ゆめタウンいずみ」が出店する事が有力視されていた場所でもありイオン鹿児島ショッピングセンターにも近い。店名は「ホームセンターきたやま東開店」となっている。鹿屋地区で半世紀以上にわたり培ってきたノウハウを生かし、鹿児島市における初めての「大型DIY」店舗として、地域になくてはならないホームセンターを目指すとしている。今年中の完成を目指し、同店で年商30億円を目標としている。
全国区としての知名度はないが、鹿児島市とは対岸に面する大隈半島に本店を置く(株)きたやま(鹿屋市)も元気だ。
同社はDIY型のホームセンターで鹿屋地区での消費者の支持は高い。現在、本店1店舗のみの経営であるが、年商34億円と高水準の売り上げをマークしている。
きたやまは家庭用品・電気製品・カー用品・園芸用品等を取り扱うホームセンターを中心に、鋼材・土木建築資材などを扱う資材センター、木材・新建材などの木材・建材センター、エクステリアセンター、園芸センターなどを複合させた店舗。価格の安さはもとより、品ぞろえが豊富なうえ、ユーザーの困りごとを解決したいという地域密着型の販売姿勢も、支持を集めている要因のようだ。
同社の躍進については最近までにNHKのドキュメンタリーや、テレビ朝日の「報道ステーション」などのテレビ番組で紹介され、国内全域にその存在が知れ渡ってきた。
そして3号店となる「スーパーセンターAZはやと」(鹿児島県霧島市隼人町)が3月18日にグランドオープンした。売り場面積は3万8000平方メートルで、駐車場スペースは、最大で7000台。生鮮食料品から日用雑貨、大工道具など取扱品目は38万点にも及ぶという。
霧島市の流通業界の様相が変化する事が予想される一方、出店地の隼人町に隣接する国分や加治木町には阿久根市や川辺町とは違いさまざまな流通店舗が出店しており、流通激戦区で(株)マキオのビジネスモデルがどのように発揮されるのかも注目されている。
■鹿児島の元気な流通店舗
「AZスーパーセンター」を経営する(株)マキオ(鹿児島県阿久根市)のビジネスモデルが脚光を浴びてきている。どこがすごいのか?といえば、これまでの流通業の経営では考えられない独自の手法により売り上げを大きく伸ばしている点だ。
同店は、人口2万7000人の鹿児島県阿久根市の本店、1万5000人の川辺町にある2号店の2店舗構成で、いわゆる「田舎立地」でも24時間営業を実施。食料品、日用品等の生活必需品まで品ぞろえはとにかく豊富だ。店名の「AZ」は、生活に必要な品々を、AからZまですべて揃えるという意味がある。最近では新分野として自動車販売にも手を伸ばしているが、2店舗で合わせて200台から400台まで販売するというから半端な数ではない。
さらにホームセンターではコメリ(新潟県、東証1部)、ドラッグストアではコスモス薬品(福岡市、東証1部)やドラッグストアモリ(福岡県朝倉市)などが鹿児島県内での店舗網を拡充しており、県外資本の流入が活発化している。
ドラッグストアは、今年6月に施行される薬事法の改正に伴い「登録販売者」制度が導入され有資格者が必要となる。それに伴う人材の確保や人件費上昇などのコスト負担の問題が発生。さらにコンビニエンスストアなどが大衆薬の取り扱いに参入する事が予測されており、大衆薬の価格競争の進行など業界環境が大きく変化する事が考えられている。大衆薬分野はこれまで小売業のなかでも市場規模を拡大してきただけに、ドラッグストア業界はひとつの転機を迎えそうだ。
また、鹿児島中央駅西口にはビッグカメラの出店が発表されており、家電流通の動向も変化が生じそうである。
食品スーパー専業ではないが、ディスカウントスーパーのニシムタ(鹿児島市)の食品事業の拡大や店舗展開、そして「マックスバリュ」を経営するマックスバリュ九州など県外業者の鹿児島進出と、競合激化に拍車がかかっているようだ。県外業者の進出は今後もさらに増加する様相で、特に注目されているのがディスカウントストアのトライアル(福岡市)。流通関係業者によると「出店条件が合えば鹿児島進出の可能性が高いディスカウントストアで、出店した場合、価格競争に拍車がかかりそうだ」と話す。
すでに県北部の伊佐市大口に出店しているマルショク(大分市)や、熊本まで店舗網を広げている食品スーパーのハローデイ(北九州市)に関しても、今後の動きが注目されている。
■スーパーやディスカウントストア ホームセンターなど激戦の様相に
鹿児島県内の食品スーパー業界をみると、トップのタイヨー(鹿児島市、大証2部上場)が年商1300億円台でほぼ一定、エーコープ(鹿児島市)が、年商500億円台で若干の減収傾向、生活協同組合コープかごしま(鹿児島市)は年商290億円前後でほぼ横ばいと、上位3社まではある程度の状況を持続している。しかし、4位の大和(薩摩川内市)は大幅減収で、5位の山形屋ストア(鹿児島市)も減収を強いられてきている。
天文館地区でのイベントの開催や、買い物客、観光客を増やすために、天文館地区の3カ所の電停で下車すると大人100円、子供50円(通常大人160円、子供80円)となる市電ワンコインデー、あわせて天文館市電バス無料デー(敬老パス・身障者パス対応)を実施した。
特にイベントの開催は頻繁で、今年は、買い物に特典などが付く「天文館にぎわい市」(2月13日から15日)、鹿児島を拠点に活動するアーティスト4人の企画展「ドローイング100枚展」(2月7日から15日)、「まちをつくろう!YES WE CANフォーラム」(2月26日)、鹿児島発の海外旅行を促進する「かごしま海外旅行博」(3月7日、8日)などが開催され、行政、企業、商店、各種団体、学校など多くの人々がイベントに参加・協力した。
このような、すそ野が広い形態で実施される、街の再生支援に関する取り組みは全国的にも珍しく、「We Love 天文館協議会」の活動は低迷にあえぐ各地の商店街から注目され、天文館の復興を願う地元の期待も高い。
■地元が立ち上がる「We Love 天文館協議会」の活動
空洞化する天文館の活性化を図るために、さまざまな業種の企業や商店が立ち上がった。それが「We Love 天文館協議会」の発足である。
発足当時の07年6月は、天文館地区の商店街、飲食店、デパートなど13の団体でスタート。その後、会員数が増加し、08年11月時点で正会員40社、賛助会員78社と拡大。同協議会は天文館におけるかつてのにぎわいを取り戻すため、率先してさまざまな活動に取り組んでいる。
さらに今年2月18日には、前述の山形屋が増床計画の延期を発表した。
山形屋の増床計画は新2号館の建設などからなり、売り場面積を150パーセントまで拡張するもので総投資額100億円のビッグプロジェクトである。当初の完成予定は2011年春で、九州新幹線鹿児島ルート全線開業に向け天文館地区の活性化の核と期待されていた。
ところが、昨年起きたリーマンショックを発端とした、米国発の世界的な不況の影響により消費環境が悪化。山形屋は、投資に見合うリターンが見込めないとして増床計画を延期した。
山形屋の岩元修士社長は「あくまでも計画延期で、中止という考えはない」と表明し、今後、工事再開の時期を見極めたいとしている。天文館の活性化の起爆剤として期待されていただけに、増床計画の早期実施を望む声は多い。
三越鹿児島店は、1892年開業の呉服商の丸屋が前身で、1961年に丸屋デパートとなり、83年、三越が資本に参加した。その後84年に鹿児島三越に商号変更。92年に三越が全株を取得し子会社化。2003年に三越本体のグループ再編により三越鹿児島店となった。
同店は80年代に九州で初めてとなる「ティファニー」を出店。全体の売り場面積では同じ天文館地区にある、南九州地区最大の老舗百貨店の山形屋には及ばないものの、三越鹿児島店が天文館の繁栄を担ってきた役割は大きく、撤退のショックは大きい。
このような状況のなか、天文館地区における衝撃のニュースが続いた。
そのひとつが三越鹿児島店の閉鎖だ。三越伊勢丹ホールディングスが、昨年4月の経営統合後、初の本格的なリストラ策を昨年9月24日に発表した。その中身は不採算店6店舗の閉鎖で、そのなかに三越鹿児島店が含まれていたのである。同店は今年5月6日に閉店する。
■苦戦が続く天文館
鹿児島市にある天文館地区は、商業施設、娯楽施設、そして歓楽街が一体的に立ち並ぶ南九州最大の商業地区である。かつて絶大な繁栄を誇っていたが、その栄華した街自体の集客力が減退し空き店舗も目立つようになった。特にアミュプラザ鹿児島やイオン鹿児島ショッピングセンターのオープンなど、相次ぐ商業施設の開業により消費者の分散化が強まり、天文館はいわゆる「街の空洞化」を指摘されるようになってきた。
2004年3月の九州新幹線の部分開業に合わせ、鹿児島中央駅に隣接する商業施設「アミュプラザ鹿児島」がオープンした。そして07年10月、イオングループとしては鹿児島県初で県内最大規模の商業施設「イオン鹿児島ショッピングセンター」が開業。さらにこの2店舗の規模には及ばないが、副都心的な役割を担う鹿児島市与次郎地区の「フレスポジャングルパーク」(06年10月オープン)、Misumiが運営する「オプシアミスミ」(07年11月オープン)といった大型ショッピングゾーンの相次ぐ開業で、鹿児島地区の流通業界はめまぐるしく変化してきた。
ここでは、激動の時期を迎えた鹿児島地区の流通事情をピックアップし検証する。