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2008年10月01日

Interview 中村学園大学客員教授 坂田 利家氏4

企業の業績に直結する社員の健康管理が重要戦略に

―メタボ対策について企業側の理解が進んでいるでしょうか?

坂田 10年くらい前に、私は企業責任者から社員の健康管理について相談を受けたことがあります。そこで高血圧の全社員に対し、血圧を至適血圧まで下げることに積極的に関与し、社内運動を起こしました。その結果、1年間で医療費削減などの効果として8000万円の利益が生まれたと聞かされました。


―企業による社員の健康管理が利益を生むのですか?

坂田 肺炎などの病気は短期間で完治するので問題はありません。しかし、生活習慣病はそうはいきません。治療や投薬にかかるコストはもちろん、受診及び入院によって社員が職場を離れる逸失利益、さらには同僚に与える荷重負荷、仕事に対する消極性などを合わせると大きな損害を被ることになります。つまり、企業側にとって、医療はこれまでの社員に対する福祉やサービスではなく、企業の業績に直結する重要な生産部門なのです。そういう意味で、社員の健康管理に積極的に関わっていくことは企業の重要な戦略になるはずです。

2008年09月30日

Interview 中村学園大学客員教授 坂田 利家氏3

積極的支援の指導への対策新たな治療法の確立が課題

―この制度で本当に生活習慣病の患者は減ると思いますか?

坂田 この制度が軌道に乗れば、メタボリック症候群の予備軍といわれる人たちは動機付け支援の指導だけである程度の成果は上がると思います。問題はそれだけでは不成功に終わった群、つまり積極的支援の指導が必要な人たちです。この人たちは動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞などを経て、一生医療と縁が切れなくなる可能性のある人たちなので要注意です。


―積極的支援を必要とする人たちへの対処法は?

坂田 これがなかなか難しい。実際、最初からエネルギー計算などをさせたら、皆さん脱落してしまうでしょう。そういう手立てを最も疎ましいと感じる人たちが患っているわけですから。メタボの原因が飲み過ぎ、食べ過ぎ、そして運動不足からきているということは誰でもわかっているはずです。問題は『頭ではわかっていても実行できない』こと。どんなに『食べ過ぎてはいけない』と言葉で指導・説得しても効果は一時的で、大抵の人がリバウンドしてしまうのです。


―言葉での指導・説得では解決にはなりませんか?

坂田 解決できる人たちは健常者、ないしはそれに近い方々です。私もこれまで長いこといろいろな肥満症の治療をやってきました。患者にいくら生活習慣の改善が必要かを説いても、入院中一時的な改善効果が上がるだけで、退院するとさらに悪化させて戻ってきます。そんなことが続き、「治療法そのものを変えないとダメだ」と、そう思うようになりました。その結果の集積が、現在行っている感覚に訴える方法になったのです。


―感覚に訴える治療法とは何なのでしょう?

坂田 具体的には、グラフ体重日記、咀嚼法、日本食化低エネルギー療法などです。すでに成書などで発表していますから、詳しくはそれをご覧下さい。ただし、これらの治療法は頭で理解することと実践してみるのとではまったく異なります。名プレーヤーになるには反復練習が必須なのです。

2008年09月29日

Interview 中村学園大学客員教授 坂田 利家氏2

日本人の健康管理は不十分将来への意識改革が必要

―一般の日本人の健康管理のあり方について?

坂田教授 まず欧米人は体が大きく、強健なのですが、それと反対に老化のスピード、度合いともに非常に激しい。これは遺伝子によるもので、そのため老化の進行を食い止めようとあらゆる努力を惜しみません。また個それぞれが独立していますので、頼りになるのは自分しかいないため、老後は特に自分の健康管理に積極的にお金を投資します。
 一方日本人は、欧米人に比べて老化の進行が遅く緩やかです。また老後は核家族が増えたとはいっても、社会システムとして家族の関係が密で、依存しあっていますので、自己の健康管理への投資も極めて消極的です。長寿といわれていますが、とくに老後の健康管理に対する自覚が不十分です。


―日本人の長寿というのは、世界的に評価されていると思いますが。

坂田 現在では、長寿も然ることながら、老後寝付いて死を迎えるまでの時間を限りなく短くすること、これが最大の関心事です。表現は少々荒っぽいかもしれませんが、できればポックリ逝くように努力すべきです。実際、厚労省は、医療政策をそういう方向に切り替えています。


―今回の「特定健診・特定保健指導」制度導入と関係がありますか?

坂田 もちろん厚労省としては、この制度を導入することで生活習慣病でもたらされる多くの病気を事前に予防し、全体として医療費を抑制したいと思っています。確かにこの制度の導入によって、多くの人が早いうちから自己の健康管理に投資する、そのきっかけになったとしたら意味は大いにあります。

2008年09月26日

Interview 中村学園大学客員教授 坂田 利家氏1

メタボ制度導入を機に個人も企業も健康管理に対する意識の転換を図るべき

 メタボ制度の導入後、有効なメタボ対策についての情報が、医療側からあまり聞こえてこない。そこで、医療従事者として、肥満症治療の研究で知られる中村学園大学客員教授の坂田利家氏に、その対策と課題、さらには個人並びに企業の健康管理への対応についての問題点などを伺った。

中村学園大学客員教授 坂田 利家中村学園大学客員教授
坂田 利家●さかた・としいえ
1936年生まれ。71歳。九州大学医学部卒。大分医科大学名誉教授。2002年から中村学園大学栄養科学部教授。08年4 月から同大客員教授。食欲の中枢と肥満の関係を長年に亘って研究。

2008年09月25日

4月から新制度スタート、特定健診・特定保健指導企業はどう取り組む?5

保健指導が必要と判断される基準とメタボリックシンドロームとは?

2008年09月24日

4月から新制度スタート、特定健診・特定保健指導企業はどう取り組む?4

■広がるメタボ市場

 企業にとっては負担でもあるメタボ健診だが、健康市場においては、健診・保健指導あわせて最大2800億円(日本政策投資銀行の試算)の市場が見込まれるとも言われている。受診の義務化による新たな健診の需要増に加え、実施に際しての実務処理や、保健指導に関する商品・サービスなど、メタボ健診に関わる市場が新たに創出されると考えられる。さらに、メタボ健診により個人の健康への関心がより高まり、健康食品や健康器具メーカー、通信関係やゲーム関係企業も拡大が見込まれ、期待が集まっている。
 スタートしたばかりのメタボ健診。医療機関や自治体、健保組合のみならず、さまざまな企業・業界がその動向を伺っている。

2008年09月22日

4月から新制度スタート、特定健診・特定保健指導企業はどう取り組む?3

■保健指導の内容は?

 メタボ健診では、腹囲、血圧、血糖値、コレステロール値の4項目を検査し、複数のリスクをもつ受診者に対して、医師や保健師、管理栄養士などによる「特定保健指導」が行われることになる。比較的リスクの軽い受診者=メタボ予備軍には「動機付け支援」として面談による支援を、完全にメタボと診断された受診者には「積極的支援」として、3カ月以上の長期にわたり、生活習慣を改善するための指導が行われる。 
 厚生労働省が今年発表した国民健康・栄養調査では、健診対象者約5600万人のうち男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボまたはその予備軍に当てはまり、合計約1900万人に上ると推計されている。今回のメタボ健診と保健指導により、2015年度までに生活習慣病とその予備軍を25%減少させるのが目標で、これにより25年度には医療費を2兆円削減できるとしている。

2008年09月19日

4月から新制度スタート、特定健診・特定保健指導企業はどう取り組む?2

健康保険加入者に義務付けられるメタボ健診改善状況によってぺナルティも
 この4月から始まったメタボ健診。これまでの健康診断とどう違うのか。また企業にはどう関わってくるのだろうか。

■メタボ健診とは?
 2006年、医療制度改革で生活習慣病対策が重視されるようになり、急速に市民権を得た言葉が「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」。中年男性を中心に、今や国民的な関心事となり、生活習慣病への危機意識も高まっている。 
 特定健康診査、通称メタボ健診は、40歳から74歳の健保・国保加入者全員を対象に、生活習慣病の要因となるこのメタボリックシンドロームに着目した、新しい健康診断の制度だ。これまでの健康診断は病気の人を見つけることが目的であったのに対し、メタボ健診では、„病気になりそうな人“を早期に見つけ、医療関係者などが介入することによって病気を未然に防ぐことが目的とされている。

2008年09月18日

4月から新制度スタート、特定健診・特定保健指導企業はどう取り組む?1

メタボリックのお腹の写真 この4月から、40歳から74歳までの全国民を対象に、「特定健康診査・特定保健指導制度」、通称「メタボ健診」がスタートした。これまで、個人に委ねられてきたメタボリックシンドロームや生活習慣病の改善がいわば義務化されることになり、対策に乗り出す企業や自治体も増えてきた。メタボ健診とは何か、そしてそれを取り巻く状況を取材した。