九州地区ゼネコンの現状18
九州・沖縄地区 ゼネコン100社 財務表

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『2007年度 九州・沖縄ゼネコン100社データブック』発刊
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九州・沖縄地区 ゼネコン100社 財務表

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『2007年度 九州・沖縄ゼネコン100社データブック』発刊
九州地区建設業界の今後
九州・沖縄県に本社を置く上位ゼネコン100社の売上高合計は、土木工事中心の業者を集計対象より除外した02年度以降はじめての増加となった。上述した梅林建設㈱の決算期変更により今回の集計上大幅な増収となったことも影響しているが、同社の増収分を差し引いても100社の売上高合計は実質的に増加した。また、02年以降減少を辿っていた従業員数がはじめて増加に転じた。バブル崩壊後、多くのゼネコンが進めてきた人的リストラも終止符を打ったかにみえる。
トップ100社にランクインしたゼネコンの内、06年度の倒産(各年度における前年度対比)は、㈱春園組(鹿児島市)の一社のみであった。しかし、倒産ではないものの、平成18年7月に前回集計83位であった㈱鹿大丸建設(鹿児島市)が会社分割し、新設した㈱鹿大丸へ建設部門の営業権をすべて移管した。旧・㈱鹿大丸建設は西陵商事㈱へ商号を変え平成18年12月に負債25億円を抱え特別清算するなど、倒産以外の手法により再建を図ったケースであった。
ただ、地場最大手の金融機関である福岡銀行を中心とした地銀再編の余波は九州全域に大きく影響しており、今後、地場ゼネコンの淘汰が加速する懸念は大いに予想されるところである。

06年度、100社合計の従業員数は12,597名となり、前回より93名(0.7%)の増加となった。土木工事業中心の業者を集計対象から除外した02年度対比では1,871名(13.0%)の減少となった。近年、各ゼネコンは売上減少や収益性の悪化から人員削減を含め経費圧縮を進めてきたが、02年の集計以降はじめての増加となった。
企業の労働生産性を分析する従業員一人当たり売上高は、02年度以来回復基調となっている。特に05年度以降の生産性は顕著に改善されており、従業員数そのものが増加した06年度の従業員一人当たり売上高は68,435千円。02年度対比では5,883千円(9.4%)増加している。

上記表の借入金月商倍率に示される通り、借入金月商倍率は2.15ヵ月分まで低下しているが、特に民間物件の多くはゼネコンの立替資金を必要とする現状、減少傾向はあるにしてもなかなか無借金とまではいかない。
06年度の無借金企業は21社(前年度比4社増)。一部には親会社からの支援や関連会社での借入などもあるが、新たに無借金企業となった4社の内3社は以前より財務的には健全性を貫いている優良企業である。例外としては金秀建設(株)(沖縄県)が今回集計で無借金となっているが、同社は3年前より主力銀行のアレンジで売掛債権の流動化を図り、前期末でついに無借金経営となった。
ただし、年度ごとにランキングは変動するため、今回集計したゼネコン100社に限定し比較すると05年度借入総額は1,755億92百万円、前年度比208億95百万円(▲11.9%)の減少となった。
特に今回ランキング上位10社の借入金減少は顕著で、05年度対比で総額141億25百万円(▲17.4%)減少した。上位10社の内、上村建設(株)(福岡県・ランキング8位)を除く9社が減少、特にトップ3社の松尾建設(株)(佐賀県)、(株)國場組(沖縄県)、(株)さとうベネック(大分県)の減少幅が大きい。
松尾建設(株)は関連の松尾リアルエステート(株)に資産負債を移管したことに加え、資産売却により金融債務を圧縮。(株)國場組は企業再生コンサルを手掛ける(株)リサ・パートナーズが金融債務を買い取り、資産売却により債務を圧縮中。(株)さとうベネックは平成18年6月期末時点で資産売却等の目立った動きはなかったものの、売上減に伴い受注見合などの短期性の借入金が減少したことが要因である。(但し、現在の新・(株)さとうベネックは営業権譲渡により継承した新会社であり、現状の財務状況は大幅に変わっている可能性が高い)

02年度以来、各ゼネコンは不良資産や不採算関連会社の売却などを積極的に進め、借入金の圧縮や財務面の改善に注力し、借入金は圧縮傾向が続いているが、06年度は九州地銀の再編が更に加速したこともあり、上位100社の合計借入金は261億32百万円(前年度比▲14.5%)減少した。
上記の各利益率表によると、100社平均の売上総利益率は06年度が9.85%、10%台を下回った05年度から更に減益し0.05%ダウン。本業での利益をあらわす営業利益率は06年度が2.49%、05年度から0.11%ダウン。経常利益率は06年度で2.57%、05年度から0.03%アップ。当期利益率は06年度が▲0.11%、05年度から0.41%のダウンとなった。
売上総利益率、営業利益率、経常利益率ともに前年をやや下回る結果となったが、特に当期利益率は02年度の集計以来初となる赤字となった。今回ランキングの上位3社を占める松尾建設(株)(佐賀県)、(株)國場組(沖縄県)、㈱さとうベネック(大分県)が軒並み赤字決算となった事が主因であるが、特に㈱さとうベネックが72億円もの多額の赤字決算となり、全体に大きく影響した。
尚、100社のうち、営業赤字は3社(前回5社)、経常赤字は3社(前回5社)、当期赤字は9社(前回11社)となった。
九州沖縄において受注高の増加が最も多いのは下記3県
大分県
前年比39.4%の大幅増加となった大分県。公共工事元請における受注は前年比17%減少となったが、民間元請が前年比4.2%増加した事と、最も顕著であったのが官民両方での下請における受注が前年比136.1%の増加となり全体の受注高を押し上げた。
宮崎県
公共工事元請は前年比37.1%の減少と激減した宮崎県。しかし、民間元請が前年比58.9%の増加、下請受注が前年比43.9%の増加となり公共工事削減をカバーした格好だ。
長崎県
長崎県は公共工事元請においては前年比3.4%の増加となったが民間元請における受注が前年比20.4%の増加となり全体の受注高を押し上げた。
九州沖縄において減収幅の最も多いのは下記5県
福岡県
前年度比24%と最も減少率が大きかった福岡県。福岡都心部を中心とした活発な民間需要が大きく影響し民間元請による受注は前年比4.1%増と堅調な推移。しかし、公共工事元請による受注が前年比43%と激減し、全体の受注高を押し下げた。一方、集計100社の内、福岡県ゼネコンの売上合計は増収となっており、ランキング対象外の中小規模以下の建設業者が苦戦しているものとみられる。
熊本県
熊本県は公共工事、民間共に前年比マイナスとなった。公共工事元請による受注は前年比1.2%の減少に留まりやや下げ止まった感もあるが、県内の景気停滞を反映して、民間受注は前年比31%の減少と激減、民需減少が大きく影響した。
鹿児島県
元請受注は公共工事で前年比8.7%減少、民間工事は9.5%減少した鹿児島県。官民ともに下請受注は前年比45.9%の減少と激減し、全体の受注額を押し下げた。100社集計の内、鹿児島県ゼネコンの売上合計は微増である事から、下請主体の中小零細業者が減収しているものとみられる。
沖縄県
元請受注は公共工事で前年度比13.3%減少したが、民間による大型の開発案件も多く、民間工事で前年度比36.9%増加となった。県下トップゼネコンである㈱國場組が減収となったものの、全体の底上もあり100社集計の内、沖縄県ゼネコンの売上合計は増収となった。
昨年の大規模な談合事件に伴い公正取引委員会から排除措置命令を受けた業者も多く沖縄県全域に激震が走った年度であったため、影響が懸念されたが公共投資減少分を活発な民間需要が補った。
佐賀県
佐賀県は前年比0.6%の減少とほぼ横ばい。他県と同様に公共工事元請は前年比17.4%の減少と激減しているが、民間元請における受注が前年比15.2%の増加となり、全体のマイナス幅を縮小させた。
同調査報告によると、平成18年4月から19年3月までの受注高は51兆9,617億円。前年度比5.4%の減少としている。
とりわけ、九州沖縄地区の受注高は3兆5,190億円、前年比10.7%の減少と全国ベースで比較しても減少率は著しい。
内訳は公共受注(元請)が9,858億円、前年比21.5%の減少。
民間受注(元請)が1兆1,463億円、前年比7.8%の増加。
下請受注 が1兆3,868億円、前年比14.4%の減少。
地区別件数・売上高ともに福岡県がトップ

売上高400億円台の企業はゼロ
06年度100社の内、最も多い売上区分は50億円以上100億円未満で44社。前回から8社増加。次いで50億円未満が38社で前回から9社減少。また、500億円以上のゼネコンは前回に引き続き松尾建設㈱(佐賀市)のみと変わりはないが、一方、前回集計では500億円未満400億円以上の区分にランクインした㈱國場組(那覇市)、㈱さとうベネック(大分市)はともに売上高400億円台を下回り、400億円台のゼネコンはゼロとなった。
また、トップ100社の内、増収企業は63社(前回54社)、減収企業は37社(前回46社)と増収企業が9社増加した。なお、増収企業63社の内、50社が売上区分100億円未満のゼネコンで占められており、上位3社(松尾建設㈱、㈱國場組、㈱さとうベネック注釈参照)が軒並み減収となったのとは非常に対照的である。
100社総売高は実質マイナス
九州地区ゼネコン上位100社の総売上高は8,620億86,306千円(前年度比387億24,453千円増)となった。ただし、ランキングは年次ごとに変動があるため、今回ランクインした100社に限定した05年度売上高は8,217億15,308千円、06年度対比では403億70,998千円の増収となった。

※97年度から99年度までは7月~6月の決算による集計
※00年度からは4月~3月の決算による集計
※02年度の集計から土木中心の業者を調査対象から削除
九州地区のゼネコン100社の決算分析より
倒産企業の約半数は建設業

経済産業省中小企業庁が全国の中小企業を対象に実施した中小企業景況調査(4-6月)によると「中小企業の業況は、やや弱い動きがみられる」としている。
2007年上半期(1-6月)九州・沖縄地区の企業倒産状況をみると、倒産件数は624件、前年同期比で44件(7.6%)増加となり、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい。中でも建設業の倒産は全体の41.7%(271件)を占め他業種を圧倒、しかも前年同期比で26件(1.2%)増加している。建設業の中でもとりわけ土木工事業者の倒産が目立ち、公共工事縮小の流れの中、九州・沖縄地区における公共工事依存の体質がより浮き彫りとなっている。前回集計対象となったゼネコン100社の内、06年度(18年4月-19年3月)の倒産は、前回集計で74位であった㈱春園組(鹿児島市・自己破産)の1社のみとなったが、今年に入りランキング対象以外でも㈱司建設(大分県)、三富建設㈱(大分県)、㈱野中建設(佐賀県)、西釜建設㈱(熊本県)など負債10億円を超える大口の倒産が相次いでいる。また、今年3月には九州屈指のゼネコン㈱さとうベネック(大分県)が整理回収機構を仲立とし再生ファンドが新設した新・㈱さとうベネックに営業権譲渡したことは記憶に新しいところである。九州地銀再編による影響も懸念される中、より多くのゼネコンがこの苦境を乗り越える事を期待したい。