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2007年11月02日

大胆予測 博多阪急の戦略とは11

博多阪急出店後の構図
大胆予測 博多阪急の戦略とは
三越と伊勢丹の統合が2008年春に決定した。
 
福岡地区も少子高齢化で市場が縮小傾向にあるものの、首都圏と同じように九州の中でも100万都市・福岡へストロー現象が起こっている。
 
このような状況下、伊勢丹資本の岩田屋と三越福岡店がすみ分けを行ないながら、両者が手を組んで博多阪急と共同戦線を戦うことになる。
 
特に三越は富裕層やシニア層に強く、一方岩田屋はOLや30・40歳代に強いと言われる。この2店が特色を生かして手を組めば催事面での共同販売促進が可能となる。本年9月に開催した大丸、松坂屋の全国縦断バーゲンなどのような催事が岩田屋・三越福岡店でも開催されるであろう。
 
また、広告媒体面の新聞折込みチラシひとつを取っても、一枚のチラシで両店を紹介でき、印刷経費減につながる。さらにチラシの部数は大幅に拡大できるだけに販売効果は大きいであろう。
 
また両店が持っている顧客の共有化による商品販促も可能となる。さらにカード戦略でも汎用性を図るために両店で共通利用もできるであろう。
 
さらには、三越が強い高額品の美術・宝飾・呉服は、岩田屋外商部も販売可能となる。三越の
50歳以上の外商富裕層顧客の子どもが20〜30歳代のためファッションに強い岩田屋の商品を買い求めることができ、両店の相乗効果で売上高は飛躍的に伸びることも考えられる。
 
いずれにしても両店のすみ分けを行ない、店舗がお互いに近いことをデメリットではなく、メリットとして生かし戦ってくるであろう。
 
仮に岩田屋、三越福岡店のジョイントが成功すれば、この両店と博多阪急に挟まれた形になる博多大丸の苦戦が予測される。福岡市内に年商400億円以上の百貨店が4つも存在する商圏でないかぎり、三越福岡店の出店で閉店した福岡玉屋の例を引くまでもなく、天神のいづれかの百貨店が、暖簾を畳む結果になるかもしれない。

《『九州経済倶楽部』は、地元のマスコミ、金融、流通、交通、エネルギー、製造業などの個人会員で構成されている研究会》

2007年11月01日

大胆予測 博多阪急の戦略とは10

カギを握る優秀な販売員の確保
 
百貨店の店頭販売員はほとんどがメーカー、取引先の派遣社員となっている。
 
売場面積4万平方メートルとなれば、2000人規模の人員が必要となる。おそらく博多阪急はローコスト経営を行うため、阪急の社員を200名程度に抑え、残りの人員は取引先派遣による人員構成となるであろう。
 
この場合約2000人の雇用が福岡に生まれることになるが、全てが博多阪急での勤務ではない。留意すべきは、博多阪急がオープンすると取引先派遣者は新人だけでなく経験者も含まれる。つまり、岩田屋、福岡三越、博多大丸で勤務している経験者が派遣先の異動で阪急へ勤務することとなるのだ。この結果、天神の百貨店では経験者が引き抜かれるため、その穴埋めとして新人が天神地区の百貨店勤務になるのである。
 
博多阪急にしてみれば、いかに優秀な取引先派遣者を確保するかが、売り上げに大きく影響する。このため、取引先との交渉は早めに行うかもしれない。
 
天神地区の百貨店では、優秀な取引先社員を引き抜かれることとなり、売上高のマイナスも予測される。この現象は百貨店だけでなく、福岡市内の専門店にも及ぶかもしれない。

このため、天神地区の百貨店では、対策として早期に店内の優秀販売員表彰制度などを導入し、取引先と早期に交渉して流出を防止することがキーポイントとなるであろう。

2007年10月31日

大胆予測 博多阪急の戦略とは9

博多阪急の富裕層対策を考える
大胆予測 博多阪急の戦略とは
福岡市は“九州の首都”であり、アジアに開かれた都市である。これは福岡空港のアジア各都市への発着便数をはじめ、博多港からの韓国等の海外航路の利用客数を見ても明らかだ。
 
地の利を有する福岡市とその周辺都市には、多くの富裕層が存在する。このため、博多阪急は外商部を創設して、積極的な施策を採ってくる可能性も考えられる。
 
なぜなら三越福岡店が出店した時、外商部は作らずに西鉄大牟田線やバスセンター利用客と市内西鉄バス路線客を主なターゲットにターミナル百貨店としてオープンした。しかし、売上拡大面や三越の高級イメージからも外商部が必要となった。現在、お得意様営業部において外商部員が約30名で活動中である。
 
博多阪急はオープン後ではなく、それ以前に外商部隊を設けて動き出すであろう。なぜなら本年度から団塊の世代が定年退職となり福岡市内百貨店で外商経験をした豊富な人材が存在するからだ。外商の顧客はどちらかと言えば店につくのではなく係員、
つまり人について、その百貨店のファンになるからである。
 
特に福岡市内百貨店の外商部長クラスのOBで、顧客へ精通し、なおかつ外商の地域戦略、カード戦略にも詳しい人材は魅力的な存在だ。
 
この場合、博多阪急は岩田屋、博多大丸OBの外商経験者による異色部隊となる可能性が高い。なぜなら、容易に岩田屋、博多大丸の優良顧客を獲得できるからである。いずれにしても、博多阪急の富裕層戦略は注目に値する。
 
一方、富裕層を育成する組織を構築する可能性もある。三越福岡店が出店後の98年「スマイルレディ」(現スマイルスタッフ)をつくった。この組織では下位顧客を優良顧客へ育成して、外商係員へ担当を移管する顧客育成組織がある。
 
現在、15名弱が活動中である三越福岡店のスマイルレディは立ち上げに際して、博多大丸の外商開発部のお得意様係の業務内容を研究した。来店を促進する女性部隊やカード募集をするパート部隊、さらに在宅勤務で自分の自宅付近の顧客を来店させるアシスタントレディと呼ばれるパート部隊を参考にして、三越独自の組織を作り上げ、成果を上げてきていると言われている。
 
このため、博多阪急は福岡における知名度が低いだけに、新規顧客会員獲得とその育成のため三越福岡店の外商部や博多大丸外商部を研究して、これらとは活動内容が違う女性組織などの固定顧客づくりの仕組みを構築してくることが考えられる。

2007年10月30日

大胆予測 博多阪急の戦略とは8

博多阪急はどのようなカード戦略を採るのか
 
現在福岡市百貨店のカードの値引きやポイント特典は、岩田屋の100円に付き5ポイント付加、三越福岡店の5%値引き、博多大丸の100円に付き1ポイント付加となっている。
 
博多阪急は出店にあたりペルソナカードを発行するであろう。ペルソナカードの特典は、現金でもクレジットでもお買物が最大10%優待となっている。詳しくは年間買上高が30万円未満は翌年5%、30〜50万円未満は翌年7%、50万円以上は翌年10%優待となっている。(表3参照)
 
年会費は、岩田屋の初年度無料2年目から1300円、三越福岡店の初年度無料2年目から2100円、博多大丸は無料となっている。しかし、開店記念として、博多阪急がオープン初年度迄の年会費無料(2年目から2100円)で、開店1年前よりカード会員を募集すれば、福岡市内百貨店にとっては大きな脅威となるであろう。
 
このため、福岡市内百貨店も対抗策としてポイントアップに取り組む店が出てくると思われる。しかし、博多阪急のようなポイントを設定すれば、経費負担増となり経営を圧迫するために困難と思われる。この結果、博多阪急が福岡市内で百貨店一番カードとなる可能性もある。
 
この優位性を大いに生かすためにも、開店前からカード会員顧客を獲得してくるであろう。北九州市の小倉そごう(現小倉伊勢丹)がオープンした時、約5万人の会員を集めていたように、博多阪急も10万人規模の会員を獲獲してくる可能性もある。この場合、店舗がまだオープンしていないために中元や歳暮、平常ギフト、更には通信販売などを含めて、どのような特典を実施するかが注目される。
 
いずれにしても、福岡においては阪急百貨店の知名度がない分、開店前に広告以外になんらかの仕掛けを行ってくるであろう。
大胆予測 博多阪急の戦略とは

2007年10月29日

大胆予測 博多阪急の戦略とは7

福岡都市圏の交通体系に基づく商圏設定
 
一般的に博多駅に出店する博多阪急は、JR沿線客や九州新幹線客を狙ってくるだろうと考えがちだが、それだけではない。
 
福岡市内のバス路線、地下鉄の交通体系を見れば、多くの路線が博多駅に向かっている。このため、九州・山口を大きな商圏と捉えながら、核となるエリアを構築するであろう。これは博多井筒屋(2007年3月閉店)の商圏設定とは異なる点だ。
 
博多阪急が最重点として設定するエリアを予測すれば次のような可能性がある。
①博多駅から30分圏内にあるJR鹿児島本線沿線の東は宗像、西は鳥栖までとJR福北ゆたか線沿線の南は飯塚まで、香椎線の西戸崎まで
②博多駅地区の足元商圏である博多区およびバス路線が天神を通らず博多駅に向かう東区、粕屋郡
③都市高速経由で天神を通らないバス路線
・東部は東区香椎方面
・西部は早良区百道浜方面と四箇田団地方面
・南部は南区老司と那珂川町方面
④福岡市内中心部で博多駅に向かうバス路線
・中央区の城南線南区の野間と長住方面
⑤福岡市営地下鉄で博多駅へ向かう前原市および西区姪浜方面

以上のエリアは核となる商圏となるものの、天神地区3百貨店の重点エリアと重複するだけに脅威になることは間違いない。
 
特にこれらのエリアは2007年3月博多井筒屋が閉店セールを開催した時、天神地区百貨店顧客を大幅に動員したエリアと重複したと考えられる。それだけに博多阪急のオープン後は阪急ファンとなり得る地区と想定される。
 
「表2」は博多井筒屋が閉店セールを開催した3月の天神地区百貨店の売上高と対前年伸率の表である。
 
一番マイナス幅が多いのが、4・9%減の博多大丸だ。一方、岩田屋は0・8%減、三越福岡店は1・1%減と、閉店セールに対し健闘をしている。
 
この要因として、両店が顧客の支持を得ていることに加えて、博多駅へ向かわない西鉄大牟田線利用客が多いためだと考えられる。一方、その反対の立場にあるのが博多大丸と考えられる。
 
このようなことから博多阪急出店後は、博多大丸の商圏エリアと大きく重複する可能性がある。その結果、天神百貨店の中で一番苦戦するのは博多大丸と想定される。
大胆予測 博多阪急の戦略とは

2007年10月26日

大胆予測 博多阪急の戦略とは6

モノからコトそして文化発信
 
博多阪急は「モノだけでなく時代性あるコト」を研究して、実際の売場に導入してくる可能性がある。ターミナル百貨店としての阪急は、同じターミナル店である三越福岡店、さらに博多大丸とは違う時代の変化を先取りした「コト」を情報発信してくるであろう。
 
駅ビルでは短時間、低料金のコト商売が人気を集めている。例えば、東京新宿駅のルミネではヘアサロンのクィックメニューで、前髪カット1000円(10分程度)髪カール1500円(15分程度)が会社帰りのOLに人気である。また、エステティックサロンの短時間クィックメニューも人気がある。福岡では男性の理髪店でカットのみ10分1000円の店は認知度がある半面、まだ女性向きのヘアサロン、エステティックは認知度がない。このためマーケットとして将来性がある。
 
また、阪急は「文化」にも強く、宝塚歌劇をはじめとする阪急東宝グループを形成している。上層階の催事場を文化催事にも併用できる「ミュージアム」として位置づけ巨匠の絵画展や陶芸展から海外の文化催事まで導入して、九州・山口全域から集客を狙ってくるであろう。
 
また、団塊世代や主婦を狙ってカルチャー分野にも力を入れることも考えられる。たとえば、東急ハンズや博多駅前にある朝日文化カルチャーセンターなどと手を組み、なんらかの試みを仕掛けてくることも想定される。
 
いずれにしても、単に商品を並べて販売するだけでなく、「コトや文化」も発信してくるであろう。

2007年10月25日

大胆予測 博多阪急の戦略とは5

全世代をターゲットにターミナルデパ地下を発揮
 
食品に強い阪急百貨店は博多阪急の出店にあたり、九州初、福岡初となる菓子や惣菜を含めた幅広い品揃えをしてくる。特に九州に根付くためにも京阪神の食品ブランドだけではなく、九州の地方ブランドの食品を開発して、取り扱ってくるであろう。例えば、ファミリーマートが宮崎県産をテーマとしてキャンペーンを展開して、話題となったように、博多阪急でしか取り扱わないような隠れた地方ブランドを開発してくることも考えられる。
 
いずれにしても九州の玄関である博多駅のターミナル店としてNo.1の食品フロアとなるのは間違いない。

2007年10月24日

大胆予測 博多阪急の戦略とは4

ファッションはOLを戦略ターゲットに狙う
大胆予測 博多阪急の戦略とは
博多阪急は婦人ファッションを核に戦略ターゲットとして、博多駅周辺に勤務するOLを狙ってくるであろう。現在博多駅地区では小売業を除く事業所数は天神地区より多く、OL人口も博多駅地区の方が圧倒的に多い。
 
博多駅地区のOLの買物傾向は平日に天神地区で買物せず、土日祝に天神で買物する傾向が強いだけに、博多阪急は平日アフター5のOL層も狙えることが強みである。
 
なぜ博多駅周辺のOLが平日天神地区商業施設での買物が少ないかは、彼女達の通勤ルートを見れば明らかである。JR通勤者は博多駅で乗降するので会社の帰りに天神まではなかなか行かない。また、「南部方面」からの通勤者のうちバス利用者は、博多駅で乗降し、西鉄大牟田線利用者は福岡天神駅の一つ手前の薬院駅で降りてバスに乗換え博多駅へと向かうので、会社の帰りは特別な用件がない限り、天神まで行かないのである。
 
「東部方面」からの通勤者も東区香椎地区等を含め都市高速経由のバスで直接博多駅へ行き来する。同様に「西部方面」から通勤者のうち地下鉄利用者は、天神駅を経由するものの会社の帰りに天神駅で途中下車するケースは稀だ。
 
このため、休日に天神商業施設で買物していたOLは平日に博多阪急に来店するようになり、天神地区の百貨店が苦戦することが予想される。
 
更に、天神地区OLで博多駅経由を利用する人は、今まで平日に天神地区で買物をするパターンだったが、今後は逆に博多阪急での買物パターンも出てくるであろう。

2007年10月23日

大胆予測 博多阪急の戦略とは3

阪急が強いファッション・食品で攻めてくる
 
阪急百貨店は「ファッション」に強く、東の伊勢丹、西の阪急と称されるように顧客から高い支持を得ている。
 
また「食品」に強く百貨店事業ともにスーパーマーケットも運営している。このため食品は大阪でも他店を圧倒するほど„デパ地下“として集客力を誇っている。
 
このように、阪急百貨店には二つの強みがあり、福岡市内ではファッションNo・1と評価の高い岩田屋、ターミナル百貨店での食品の強みを発揮する三越福岡店との一騎打ちが考えられる。
 
こうなると、福岡市天神地区の百貨店の中で一番苦戦するのは、「店舗イメージの特色がない」と言われている博多大丸となるかもしれない。

大胆予測 博多阪急の戦略とは

2007年10月22日

大胆予測 博多阪急の戦略とは2

天神3百貨店の売上高・面積VS博多阪急百貨店
 
福岡市中央区天神では、3百貨店が営業し、一番店は岩田屋で売場面積4万8500平方メートル、売上高868億円。2番店は博多大丸で売場面積4万4200平方メートル売上高696億円。3番店は三越福岡店で売場面積3万8000平方メートル、売上高449億円となっており、3百貨店の売場面積は13万700平方メートル、売上高は2013億円である(表1参照)。
 
一見、博多阪急百貨店は天神地区の百貨店面積には及ばず、天神優位と感じられるが、新博多駅ビルにはJR九州が独自に開発した鹿児島駅でも成功した「アミュプラザ」や東急ハンズの出店も決定している。売り場面積10万平方メートルを有効活用して、話題性による集客力を狙っている。
 
加えて乗降客数一日平均34万人に加え、九州新幹線鹿児島ルートの乗降客も拡大することから天神地区の3百貨店にとって、脅威となることは間違いない。
 
また大阪の阪急百貨店はターミナル百貨店であり、ターミナルの強み・弱みを熟知しているため、このノウハウはフルに活用するものと思われる。一般的にはターミナル店は人が集まるので店内の商品の品揃えとか店内サービス等には力を入れる半面、店外の顧客の集客については弱いとされている。
 
このため、博多阪急百貨店はターミナルに集まる乗降客だけでなく、店独自での集客を構築し出店してくるであろう。なぜなら、そのような戦略を採らなければ天神地区の百貨店に負けるのは明白であるからだ。

大胆予測 博多阪急の戦略とは

2007年10月19日

大胆予測 博多阪急の戦略とは1

2011年春、九州新幹線鹿児島ルートの全線開通に合わせて新博多駅がオープンする。
新駅ビルの延床面積は約20万平方メートルで、駅施設、駐車場を除いた複合商業施設の総売場面積は約10万平方メートルとなる。
うち約4万平方メートルに入居する博多阪急百貨店(仮称)は営業初年度の売上高として400億円を見込んでいる。
JR駅ビル百貨店の京都伊勢丹、名古屋高島屋、札幌大丸等は集客力などの観点から、成功しているものの、博多阪急百貨店はどのような戦略で臨むのかをリポートする。
〈『九州経済倶楽部』流通取材班〉
大胆予測 博多阪急の戦略とは