金融特集 どうなる?中小企業融資 “巨大地銀„ ふくおかFG出現の激震7
親和銀が取り引きしない企業なんて…
福岡銀は一気に不良債権を償却した後、本店内に法人ビジネスセンターを開設して法人営業の選択と集中を進めた。これによって中小・零細企業の多くが福岡銀の営業対象外となり、そうした企業は福岡中央銀などの下位行に口座を移すなどして食いつないでいるという現状がある。
今回の親和銀の子会社化によって、親和銀の取引先である佐世保の中小・零細企業の心配はここにある。福岡銀と親和銀は昨年10月の業務提携以降、既に取引先企業の事業再生を共同で行っている。3月には地域型の再生ファンドである西九州再生ファンドを立ち上げ、既に97億円の債権が親和銀から移されるなど、組織的に取引先支援が進められている。

しかし、地域のある金融関係者は「ファンドに移される企業は再生の見込みがあるが、問題はそれ以外の企業。福岡の場合は福岡銀が融資を止めても、そこをフォローする金融機関はいくつもあるが、佐世保に限っては親和銀が取り引きしない企業にはどこも手を出さない。親和銀とはそういう役割を持った銀行だった。だから中小企業の倒産が大幅に増えるのではないか」と指摘する。
ふくおかFGとしては、熊本や佐世保で福岡と同じことをするわけではなく、地域との関係を重視したいと説明するが、実際に熊本ファミリー銀では前期、九州・山口の地銀22行でトップだった中小企業向け貸し出し比率が、07年3月期決算では約3ポイント減って3位に落ちている。地域経済に浮揚の兆しがまったく見えない中で、親和銀の経営を健全化するには不良債権をオフバランス化しながら処理していくしかなく、地域の中小企業にとってはさらなる痛みを強いられる可能性が強い。

今回の統合について、福岡銀頭取でふくおかFG社長の谷正明頭取は一義的には親和銀の支援であり、規模拡大を狙った戦略的統合である熊本ファミリー銀とのケースとは違うと説明している。しかし、今回の統合の前に発表されているふくおかFGの経営計画では、「5年後に総資産12 兆円」と明記されており、これは現在の福岡銀の約8兆円、熊本ファミリー銀の1兆3000億円に、親和銀の2兆3000億円を上乗せすることで実現可能な数字であり、親和銀の統合は既定路線だったことがうかがえる。
今回の福岡銀による親和銀の経営統合は、親和銀をふくおかFGの完全子会社化の形で行われる。現在、九州親和HDが保有する親和銀としんわDCカードの株式を、ふくおかFGが760億円を上限として買い取り、2社はふくおかFGの完全子会社となる。九州親和HDは解散し、ふくおかFGから受け取った株式の譲渡対価760億円を原資に株主に対して分配金を支払う。未返済だった公的資金300億円は優先株としてこの時点で100%返還されることになる。このほか、ファンドなどが保有している優先株が230億円あり、こちらも100%分配される。残った230億円が一般株主への分配原資となり、これが1株50円程度となる見込みだ。