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2007年09月12日

金融特集  どうなる?中小企業融資 “巨大地銀„ ふくおかFG出現の激震7

親和銀が取り引きしない企業なんて…
 
福岡銀は一気に不良債権を償却した後、本店内に法人ビジネスセンターを開設して法人営業の選択と集中を進めた。これによって中小・零細企業の多くが福岡銀の営業対象外となり、そうした企業は福岡中央銀などの下位行に口座を移すなどして食いつないでいるという現状がある。
 
今回の親和銀の子会社化によって、親和銀の取引先である佐世保の中小・零細企業の心配はここにある。福岡銀と親和銀は昨年10月の業務提携以降、既に取引先企業の事業再生を共同で行っている。3月には地域型の再生ファンドである西九州再生ファンドを立ち上げ、既に97億円の債権が親和銀から移されるなど、組織的に取引先支援が進められている。
 ふくおかFG出現
しかし、地域のある金融関係者は「ファンドに移される企業は再生の見込みがあるが、問題はそれ以外の企業。福岡の場合は福岡銀が融資を止めても、そこをフォローする金融機関はいくつもあるが、佐世保に限っては親和銀が取り引きしない企業にはどこも手を出さない。親和銀とはそういう役割を持った銀行だった。だから中小企業の倒産が大幅に増えるのではないか」と指摘する。
 
ふくおかFGとしては、熊本や佐世保で福岡と同じことをするわけではなく、地域との関係を重視したいと説明するが、実際に熊本ファミリー銀では前期、九州・山口の地銀22行でトップだった中小企業向け貸し出し比率が、07年3月期決算では約3ポイント減って3位に落ちている。地域経済に浮揚の兆しがまったく見えない中で、親和銀の経営を健全化するには不良債権をオフバランス化しながら処理していくしかなく、地域の中小企業にとってはさらなる痛みを強いられる可能性が強い。

2007年09月11日

金融特集  どうなる?中小企業融資 “巨大地銀„ ふくおかFG出現の激震6

福銀と親和銀のこれまでの取組み(事業再生共同化)
福銀と親和銀のこれまでの取組み

2007年09月10日

金融特集  どうなる?中小企業融資 “巨大地銀„ ふくおかFG出現の激震5

 ふくおかFG出現今回の統合について、福岡銀頭取でふくおかFG社長の谷正明頭取は一義的には親和銀の支援であり、規模拡大を狙った戦略的統合である熊本ファミリー銀とのケースとは違うと説明している。しかし、今回の統合の前に発表されているふくおかFGの経営計画では、「5年後に総資産12 兆円」と明記されており、これは現在の福岡銀の約8兆円、熊本ファミリー銀の1兆3000億円に、親和銀の2兆3000億円を上乗せすることで実現可能な数字であり、親和銀の統合は既定路線だったことがうかがえる。
 
ただし、熊本ファミリー銀との統合作業も進行中であるこの時期の統合は予定外だったのではないかとみられる。熊本ファミリー銀も07年3月期決算ではさらに不良債権の処理を進めて大幅な赤字となり、福岡銀は350億円の追加出資をしたばかり。これは財務基準を福岡銀に統一したことによるものだが、親和銀は熊本ファミリー銀の倍近い資産規模であり、今後の健全化に向けてさらに巨額の資金が必要となることは必至だ。また、3行の07年3月期決算の数字を単純合計すると(別表)、総資産や預金量の規模では横浜銀を抜いて地銀トップに躍り出るものの、損益では史上最高となった福岡銀単体の利益をあっさりと吐き出して、巨額の赤字を抱えることになる。一時的とはいうものの、さすがに抱え込み過ぎではないかという声も周囲からは聞かれる。
 
それでも谷頭取が異例の早さで統合を決断したのは、過去、福岡銀自身が巨額の不良債権を一気に償却し、一時的に赤字に陥ったものの、その後はV字回復を成し遂げた成功体験が背景にあるとみられる。

2007年09月07日

金融特集  どうなる?中小企業融資 “巨大地銀„ ふくおかFG出現の激震4

 ふくおかFG出現今回の福岡銀による親和銀の経営統合は、親和銀をふくおかFGの完全子会社化の形で行われる。現在、九州親和HDが保有する親和銀としんわDCカードの株式を、ふくおかFGが760億円を上限として買い取り、2社はふくおかFGの完全子会社となる。九州親和HDは解散し、ふくおかFGから受け取った株式の譲渡対価760億円を原資に株主に対して分配金を支払う。未返済だった公的資金300億円は優先株としてこの時点で100%返還されることになる。このほか、ファンドなどが保有している優先株が230億円あり、こちらも100%分配される。残った230億円が一般株主への分配原資となり、これが1株50円程度となる見込みだ。

2007年09月06日

金融特集  どうなる?中小企業融資 “巨大地銀„ ふくおかFG出現の激震3

親和銀のふくおかFG入りは織り込み済みだったが…
 
では、ここで今回の再編の中身を確認しておこう。
 
親和銀行は、九州親和ホールディングスの傘下にある佐世保市が本店の地方銀行で、九州親和HDは2002年4月に同じく佐世保市を拠点としていた第二地銀の九州銀行と合併するための持ち株会社として発足した。1年後の03年4月に親和銀と九州銀が合併し、親和銀が存続会社となった。現在、九州親和HDの傘下には、親和銀行とグループのカード会社であるしんわDCカードの2社がある。
 
元々、長崎県は佐世保市に2行、長崎市に2行(十八銀と長崎銀)の1県4行という金融の過当競争状態にあり、長崎銀も01年に福岡シティ銀(当時)の子会社になるなど、常に再編の渦中にある地域だった。新生・親和銀も合併の効果は小さく、地域経済の停滞とともに業績を悪化させ、公的資金の注入に伴う経営健全化も計画通りに進まず、05年には金融庁から処分を受けるなどしていた。
 
昨年8月末発行の本誌特集記事においても、自力再建は困難であり、今後の九州の金融再編の中心になるであろうという見通しをしており、引き受け手としては福岡銀以外には考えられないというのが当時、衆目の一致するところだった。
 
昨年10月には福岡銀から70億円の資本支援や事業再生共同化などの業務提携を結んだものの、07年3月期決算では不良債権が大幅に増加し、過去最悪の赤字を計上、自力再
建を断念した。

2007年09月05日

金融特集  どうなる?中小企業融資 “巨大地銀„ ふくおかFG出現の激震2

福岡FGとの比較
 ふくおかFGとの比較

2007年09月04日

金融特集  どうなる?中小企業融資 “巨大地銀„ ふくおかFG出現の激震1

 ふくおかFG出現
総資産11兆6721億円、預金量10兆797億円という、„巨大地銀“が誕生する。ふくおかフィナンシャルグループ(ふくおかFG)は、傘下の福岡銀、熊本ファミリー銀、それに10月に経営統合する親和銀の3行を合計すると、貸出金こそ横浜銀に及ばないものの、総資産、預金量では堂々の地銀トップに躍り出る。4月2日にふくおかFGが発足してから2か月足らず、この速すぎるほどの福銀の広域展開は、同時に多大な痛みを伴うことは必至。地域の中小企業にとっては、さらに厳しい局面に入ることが予想される。

地元・佐世保に痛み残した
親和銀の„身売り“

最初に激震が走ったのは、親和銀の地元・佐世保の地元経済界だ。最悪の事態は免れたが、その痛みが大きすぎるし、将来も楽観できない、という声が大勢を占める。
 
「最悪の事態」とは、親和銀の破綻。親和銀がなくなったら、佐世保の経済界全体が破綻するといわれるほど、親和銀は佐世保地域の経済界全体と深いつながりがある。今回、ふくおかFG傘下に入ることによって、親和銀そのものは存続することになり、地域経済全体の破綻は免れた、という意味だ。しかし、地域とのつながりが深いというのは、融資や預金関係だけではない。
 
「この地域は、持ちつ持たれつ、ということで地元の商店主など、企業の多くが親和銀の株を持っている」(佐世保の商店街関係者)。つまり、親和銀は佐世保の商店主たちにとっては信金・信組ともいえる存在だったのだ。その株式が、今回の„身売り“によって、1株50円程度しか返ってこない見込みだ。株主の多くは600~700円で買っているというから、1000株なら60万円、1万株なら600万円の損失となる。破綻によってゼロになるよりはまし、とはいうものの、不況にあえぐ地元の商店主や企業経営者にとって、決して小さな数字ではない。
 
ふくおかFGと親和銀は、この痛みを超えるメリットを地元・佐世保に提供することが、まずは第一の使命となる。
 
しかし、親和銀が日本一保守的といわれる審査基準を持つ福銀のグループに入ることで、佐世保の地場企業の間では切り捨てられるのではないかという不安が沸き起こっている。