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2010年06月07日

ウォーターフロントを見直せ!11

須崎埠頭・博多埠頭・中央埠頭などのエリアを眺める上空写真博多湾ウォーターフロントのこれから

 西のシーサイドももち、東のアイランドシティの整備が進み、博多湾のウォーターフロント開発では中央部分が最後に残された形となる。

 このエリアでは天神に近いという地の利を生かし、中央埠頭の国際ターミナル化、クルーズ船の発着港整備、住宅開発などのプランがあった。須崎埠頭の再開発については、天神に最も近いエリアということで以前から都市利用、高度利用の必要性がいわれており、福岡市が2016年オリンピックの招致に乗り出した際にはメーン会場や選手村用地として利用する計画も発表された。しかしオリンピック招致に敗れ、市長も交代したことで須崎埠頭再開発については現在は消滅した形だ。

 しかし、例えば須崎埠頭(ふとう)にある穀物や鋼材の機能は箱崎埠頭にもある。また須崎埠頭の中央部分では港湾機能というよりは福岡の都市のバックヤード的な施設が多い。ある福岡市の港湾関係者は次のように話す。

 「博多港の整備は、都市の成長にめ、さまざまな機能があちこちの埠頭に散在している。物流全体がコンテナ中心へのシフトや、あるいは船の大型化、システムの高度化、さらには市場環境の変化などが多様化するなか、散在している機能を再配置、あるいは効率化、高度化していくことが必ず必要になってくる。だからといって、須崎や箱崎の穀物部分を丸ごとアイランドシティに持っていけばいいといったような簡単なことではない。穀物にしてもコンテナ化が進むなど物流の変化が進んでおり、ひとつひとつについてそうした動向を見極めた上で、総合的に判断しなければならない。それに例えば、現在アイランドシティをターミナルとして上海と高速物流を実践しているRORO船(コンテナをトラックに積んだまま積み下ろしができる高速船)は、さらに需要が高まることが予想されるなど、新しい動きがある。港湾としてはそうした新しいチャンスは逃したくないので、アイランドシティのような新しい場所は、そうした新しい動きのための場所であるべきだ。」

 こうした考えで港湾機能の整備を進める上で、その基本となるのが、これから福岡はどんな街になろうとするのかという根本的な都市構想だ。「アジアに開かれた交流拠点都市」という大きなコンセプトはあるが、具体的な青写真が現在の福岡市にはみられない。「福岡の街を海から変える」というような、思い切った都市構想の青写真を描くことができるかどうかが、福岡市の行政や経済界に課せられた大きなテーマだろう。

2010年06月04日

ウォーターフロントを見直せ!10

博多埠頭サンセットパークから見た須崎埠頭青果市場は市第二工区に物流地区の分譲進む

 海の中道アイランド線から海側の「みなとづくりエリア」では、香椎パークポート側の約半分のエリアがコンテナヤードとして既に稼働している。特に湾側のC2地区は15メートル水深の岸壁が今年1月、これまでの長さ150メートルから350メートルに延長され、長さ340メートルの大型コンテナ船が接岸できるようになった。

 コンテナターミナルのバックヤードとなる物流倉庫などの施設は中央部分で既に分譲が進んでいる。

 みなとづくりエリアの北東の一角は福岡市の第2工区(約43ヘクタール)で、ここに新青果市場とその関連施設を建設する予定となっている。

 またその西側、島の北西の一角(市第4工区、約65ヘクタール)はまだ埋め立て途中で、分譲開始は2018年度、最終分譲は2027年度になる見込みだ。

2010年06月03日

ウォーターフロントを見直せ!9

「CO2ゼロ街区」公募に2社が提案

 アイランドシティの開発事業は、分譲予定エリアごとに事業計画の公募を行い、民間事業者からの事業提案を受けて審査の上、分譲される。

 福岡市が事業主体となる第5工区においては、基本的に博多港開発工区と同様に沿岸部分に住宅を建設し、中央部に生活関連施設や利便施設を配置する形で進められる。

 その第一弾として、照葉小中学校の北側で海岸に面した約6万平方メートルの住宅用区画(一部博多港開発所有地を含む)について今年2月に公募が行われ、2社が具体的な事業提案を行った。審査の上、3月末ごろに開発事業者が決定する。

 この事業提案公募の特徴は、「CO2ゼロ街区」としている点だ。

 CO2ゼロ街区とは、この街区に住む家庭の日常生活で発生する年間のCO2排出量と、CO2削減量が同等になるような事業計画を立てることを求めたものだ。高効率の設備機器の導入や家の断熱性向上などによる省エネルギーによってCO2の排出量をまず削減する。そして削減後の実際の排出量に等しい量のCO2を、太陽光発電などによる創エネルギーによってさらに削減し、理論上CO2排出量をゼロにするという考え方だ。

 開発事業者にとっては、かなり厳しいハードルと思われるが、福岡市は、今後も市の第5工区については同様の低炭素型のまちづくりを基本とするコンセプトを策定することを、昨年12月に改定した新しいアイランドシティ事業計画で明確にうたっている。

2010年06月02日

ウォーターフロントを見直せ!8

アイランドシティの進捗状況

まちづくりエリアは福岡市工区に開発シフト

 アイランドシティは、香椎パークポートから島の中央を横切って雁ノ巣に向かう海の中道アイランド線によって陸側と海側の大きく2つのエリアに分かれている。陸側が「まちづくりエリア」、海側が「みなとづくりエリア」だ。

 まちづくりエリア(約192ヘクタール)は住宅や生活関連施設、研究開発型産業が立地するエリアとして、多くの市民が住み、訪れるエリアとなっている。一方の、みなとづくりエリア(約210ヘクタール)はコンテナターミナルを中心とした、港湾物流施設のためのエリアとなっている。

 まちづくりエリアでは、香椎に近い部分から順次開発が進み、住宅エリアとして「照葉のまち」や高層マンションなどの集合住宅が並ぶ照葉三丁目地区があり、賃貸を含め現在約3,400人がアイランドシティで生活している。生活関連施設としては、福岡市初の小中一貫校として注目される照葉小中学校が開校しており、照葉公民館・老人いこいの家も昨年7月に完成、隣接して保育所も今年4月に開所されることになっている。香椎パークポートに面した一角は「ふくおか健康未来都市構想」の一環として医療機関や高齢者福祉施設などの建設が予定されており(一部病院は開業済み)、移転問題で揺れた福岡市こども病院の新病院予定地もこの一角にある。

 中央部のアイランド中央公園は、週末にはさまざまなイベントが開かれるほか、平日でも天気のいい日は緑地で遊ぶ親子連れなどの姿が多く見られ、島内や近隣住民のいこいのエリアとなっている。

 まちづくりエリアのうち、照葉小中学校の北側の境界から南が博多港開発による開発工区(約97ヘクタール)で、このエリアは現在約75%の開発が終了している。アイランド中央公園の北側など一部空き地も見られるが既に住宅や商業・飲食施設が立地するエリアとして事業予定が決まっており、博多港開発工区は一部未定のエリアも含めて2014年度までには分譲を終える予定となっている。

 従って、まちづくりエリアの今後の事業は、照葉小中学校から北側の第5工区(約95ヘクタール)が中心となる。

2010年06月01日

ウォーターフロントを見直せ!7

アイランドシティ(福岡市)全景■アイランドシティ
環境をキーワードに開発が進むアイランドシティ


 博多湾ウォーターフロントの東の拠点として埋め立て・開発が進んでいるアイランドシティ。香椎に近い東側では住宅の集積やそれに伴う学校・公民館などの施設が整備され、広大な緑地であるアイランド中央公園も含めて街の姿を現しつつある。また博多湾中央部に面した南側の岸壁はコンテナヤードとしてフル稼働に入っており、博多湾の港湾機能の充実を先導している。

 一方で和白・雁ノ巣に面した北側のエリアは現在も埋め立て工事の途中で、まだまだ開発には長い年月が必要となっている。そうした現状と今後の方向性についてまとめてみた。

2010年05月31日

ウォーターフロントを見直せ!6

ベイサイドプレイス博多 港の景色を見ながら食事を味わえるレストラン 九電工の橋田紘一社長は、「博多港が福岡の海の玄関口としての機能を果たし、多くの人々に親しまれるよう、市民のみなさんのニーズに応える努力をこれからもおしみませんので、港町博多のシンボルとして育てていただきたい」と話した。船着き場であることを生かして、ベイサイドプレイス博多から那珂川をのぼってキャナルシティ博多近くの春吉橋までをつなぐ水上バスの運行も検討されている。

 しかし、博多港を本当の意味での「海の玄関口」として機能させるには交通アクセスの本格的な整備が不可欠だ。例えば、ベイサイドプレイス博多から中央埠頭―大博通り―博多駅―住吉通り―渡辺通り―天神―昭和通り―ベイサイドプレイス博多という循環ルートで次世代型路面電車(LRT)を走らせてみてはどうか。LRTは環境負荷が小さい都市交通機関として近年世界の多くの都市で導入されるようになっており、建設費用も地下鉄建設の10分の1から20分の1で済む。国も自治体や地域企業の合意によるLRT整備計画に対して費用補助など導入支援を打ち出している。

 中央・博多埠頭の海上ターミナル化と、そこから鉄道や空港を含む都心各地につながるアクセスを整備することは福岡の都市全体の交流機能を高めることになる。

 博多港中央部のウォーターフロントには、アジアからの集客、コンベンション施設、そしてベイサイドプレイス博多と、港町として必要かつ効果的な要素が集まっている。交通アクセスの整備などによって点在する要素を結びつけることが、博多港ウォーターフロントの中央部分における根本的な課題だ。この課題に行政を中心とした港湾関係者がいかに取り組むかが重要であり、ベイサイドプレイス博多が新しいウォーターフロントづくりの起爆剤になるのか、今後の動向が注目される。

2010年05月28日

ウォーターフロントを見直せ!5

ベイサイドプレイス博多 松金市場の鮮魚売り場課題はアクセスと周辺埠頭とのコラボレーション

 ベイサイドプレイス博多では、初年度に年間150万人の集客を目指している。これは開業当初の約半分だが、当時はすぐ近くに福岡市の図書館があった。現在、ベイサイドプレイス博多周辺には市民が日々訪れる施設がなく、単独での集客を余儀なくされた。この数字を実現するために、前述のようなイベントやスタジオ開設したクロスFMとのコラボレーション、志賀島、壱岐・対馬航路、湾内クルーズ船「マリエラ」のターミナルを活用したイベントなどを仕掛けていく方針だ。

 対岸の中央埠頭にはビートルなどによる韓国航路、観光客を乗せたクルーズ船の寄港などで多くのアジアの人たちが入っている。特に注目されるのが中国からのクルーズ船で、福岡市のまとめによると、2009年は計24回寄港し、その経済波及効果は10億5700万円と推計されている。2010年度は66回の寄港が予定されており、経済波及効果も29億円近くになるとみられる。寄港したクルーズ客は団体ツアーの場合、午前中に太宰府などを観光し午後に天神でショッピングといったスケジュールが多いが、この中にベイサイドプレイス博多を組み込むことができるか。九電工の橋田絋一社長は「彼らを取り込んでいく仕掛けもぜひ考えたい」と話している。

 そして、最大の課題はアクセスだ。ベイサイドプレイス博多までは天神からバスで約5分、博多駅からは約7分と、時間的にはそう遠くはない。だが、福岡の人たちにとって港エリアは〝離れた場所〟という印象が根強く、実際に港湾物流関係の大型車両が激しく行き交うなど一般の人々にとっては車でも入りにくいエリアとなっていることは間違いない。

 また、隣接する福岡サンパレスや福岡国際センターでコンサートなどのイベント客が帰りにベイサイドプレイス博多に立ち寄って食事をする、といった相乗効果も期待されるが、実際は両施設とも海を背にした構造になっており、大回りしないとベイサイドプレイス博多には行けない。対岸のマリンメッセ福岡からは遊歩道でつながっており、歩いて5分程度だが、「なかなか歩かない」といわれる福岡市民を誘導するには何らかの仕掛けが必要だろう。海が北向きであることから冬場でなくても少し天候が悪ければ歩きづらいエリアであることもベイサイドプレイス博多にとっては大きなハンディであるといえる。

2010年05月27日

ウォーターフロントを見直せ!4

桜桜や花でイベントも企画
地域のイメージ戦略も一新


 博多埠頭一帯の地域イメージを一新するために、日本さくらの会の協力で昨年、埠頭先端のサンセットパークからベイサイドプレイス博多、そして船だまり対岸のマリンメッセ方面につながる遊歩道一帯に約200本の桜を植樹した。桜をこのエリアのシンボルとしたい考えで、記念イベントとして3月28日にはベイサイドプレイス博多を発着とする「さくらウォーク」を開催。
紅葉を植える計画もあり、桜や紅葉、そして四季の花々を楽しめるエリアにしようという構想だ。

2010年05月26日

ウォーターフロントを見直せ!3

ベイサイドプレイス博多既存の建物を生かし新テナントを誘致

 リニューアルされたベイサイドプレイス博多のテナント構成を見てみよう。

 ウォーターフロント施設として不可欠な「市場」機能では、3棟のうち中央のB棟1階に「博多松金市場」が出店した。博多松金市場では、ベイサイドプレイス博多が立地する中央埠頭が壱岐・対馬航路のターミナルであることから壱岐漁協と提携し、壱岐から届く新鮮な魚介類を中心に玄海灘の海の幸、九州各地の農産物などを販売する。またワインセラーや、買った魚をその場で料理してもらえる居酒屋も併設している。

 飲食店は、南側のA棟1階に多国籍フードコート、2階にマジックショーなどが楽しめるレストラン「ライトハウス」、B棟2階には寿司、バイキング形式の漁師風料理、ラーメン・ホルモン料理の3店舗が入った。

 物販店では、B棟2階に「博多オルゴール堂」が出店。これは小樽や函館、鎌倉などで店舗展開しているオルゴールの専門店で、140坪の広い店内にはあらゆる種類のオルゴールがきらびやかに並び、製作キットによる手づくりオルゴールのコーナーもある。価格も手ごろなものが多く、新しい人気スポットとなりそうだ。ほかに物販では、旅客ターミナルを兼ねたC棟1階に伊万里・唐津の工芸品を集めた「ほんなもん伊万里」、熱帯魚とペットホテルの「アクアペット・ディア」が新たに出店した。

 キッズスペースとして、C棟2階には「ミルキーウェイ」が出店。220坪の広いスペースにすべり台などの大型遊具や知育おもちゃなどをそろえた子育て応援施設となっている。さらにC棟3階にはクロスFMのサテライトスタジオも開設され、放送が始まっている。C棟中心部の巨大水槽「アクアリウム」もそのまま設置されている。

 埠頭中央の道路をはさんだ向かい側には温泉施設「波葉の湯」を2008年11月にオープンしており、「飲食からショッピング、温泉まで、家族連れや若いカップル、年配のご夫婦といったさまざまな人たちに楽しんでいただける構成となった。事前のマーケティングで要望が多かったキッズ施設やペットホテルを上手に使っていただきたい」(九電工ネットプロデュース)としている。

2010年05月19日

ウォーターフロントを見直せ!2

ベイサイドプレイス博多リニューアルオープン式典でのテープカット 水際再生の起爆剤となるか
「ベイサイドプレイス博多」

 「博多を元気にしようという心意気にあふれたプロジェクトだと思います。九電工さんに心から感謝します」

 福岡市の吉田宏市長は3月11日、ベイサイドプレイス博多のリニューアルオープン式典でこうあいさつした。

 ベイサイドプレイス博多が開業したのは1991年。当時は博多湾ウォーターフロント開発のシンボル的事業として人気を集め、開業当初は年間300万人を集客する人気スポットとなった。

 しかし、その後は集客を維持するための有効なテナント運営ができず、福岡市などが出資していた第三セクターの運営会社であるサン・ピア博多は2005年に40億円近い負債を抱えて破たん。同社の資産(建物)を九電工が購入して再生策を模索したが、なかなかまとまらず、船着き場としての機能以外は停止した状態が続いていた。

 九電工では約1年半前からあらためて本格的なリニューアルに向けてプロジェクトに取り掛かり、ネット通販事業などを手掛ける子会社の九電工ネットプロデュースによって新しいテナント誘致を進め、3月11日のリニューアルオープンにこぎつけた。

2010年05月18日

ウォーターフロントを見直せ!1

ベイサイドプレイス博多全景  運営主体の第三セクターが破たんし、長く閑古鳥が鳴いていた博多港の商業施設「ベイサイドプレイス博多」が、3月11日、リニューアルオープンした。

 福岡市は海に開かれた都市としてこれまでもシーサイドももち地区やアイランドシティなど博多湾の東西でウォーターフロント開発を続けてきたが、須崎・中央・箱崎埠頭(ふとう)を中心とした中央部は古い港の構造を残したまま。一方で中央埠頭は韓国、中国を中心としたアジアとの交流拠点としての役割が高まっている。

 こうした動きをより効果的に都市経営やまちづくりに生かすには、博多湾中央部分のウォーターフロントを見直すことが必要だ。リニューアルオープンしたベイサイドプレイス博多を起爆剤に、博多湾のウォーターフロントが進化を遂げることができるだろうか―。