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2009年12月04日

環境モデル都市・北九州から始まる新しい環境産業

橘高公久氏・北橋健治氏・新地哲己氏

【表1】


 鳩山由紀夫首相がCO2排出量25%削減を打ち出し、官民挙げた本格的な環境対策の実践が求められている。

しかし、北九州市では、国の対策を待つまでもなく、行政、企業、そして市民が一体となって長年にわたって環境問題にあらゆる角度から取り組んでおり、世界から注目される「環境モデル都市」となっている。

 そこで、地域社会における環境問題への挑戦の現状とこれからについて、九州経済産業局長の橘高公久氏、北九州市長の北橋健治氏、芝浦特機社長の新地哲己氏に話し合っていただいた。


鈴木
 まずは、橘高局長から、国の環境政策の基本的な考え方をお聞かせください。


橘高
 大きな時代の変化の時期に、環境への取り組みが進んでいる九州で仕事ができることに喜びを感じています。

 国の政策は、鳩山首相が打ち出したCO2削減をいかに実行していくかが、大きな課題・目標となります。これをどう達成するかは、国民のみなさんや産業界のアイデアを幅広く聞かせていただく必要があります。
私たちは産業を担当する立場ではありますが、産業と環境、環境と地域、環境と市民はそれぞれ両立しなければなりません。

産業や地域、生活がこれまでよりよくなるような方向性で具体的な政策にこれから取り組んでいくことになります。その際の大きな柱は、CO2を中心とする温室効果ガスの排出をどう抑制するかですが、同時に省エネ・新エネなどのエネルギー政策や資源リサイクル政策を併せて政策を組み立てていきたいと考えています。


鈴木
 北九州市は2008年に国から環境モデル都市に認定され、その行動計画である「北九州グリーンフロンティアプラン」に沿った低炭素社会に向けた先進的な取り組みを進められています。


北橋
 北九州市は産業都市として栄えてきましたが、同時に公害問題を抱えていました。
女性のみなさんからの「青空がほしい」という声がきっかけになり、産業界がそれにこたえ、自治体と国がそれを支援し、大学も研究で協力するという、市民と産学官のいいチームワークが生まれ、青空や青い海を取り戻しました。この公害克服の過程で得られたチームワーク、技術、人材などをまちの発展に生かしていこうということで、資源循環型のエコタウンをつくりました。

 また、公害克服の経験を生かして世界133カ国から研修員を受け入れ、環境への取り組みを国際協力にまで広げました。

 アジアの各都市とも友好・信頼関係を築いています。グリーンフロンティアプランを打ち出すにあたっては、市民や企業や自治体も含めた100万人がみんなで1歩を踏み出すためにどうすればいいかをしっかりと議論し、低炭素の目標を設定しました。2050年には市内CO2排出量を05年比で5割削減し、アジアの都市への環境技術協力によってアジアで150%削減するというものです。低炭素社会に向けては、イバラの坂道を駆け上るような厳しいイメージがありますが、そうではなくて、環境で経済が拓かれる、まちが栄え、人が育つ、という前向きなイメージでとらえようとしているのがこのプランのもうひとつの特徴です。

 具体的な目標は次の5つです。
ひとつは、200年街区をつくること。城野地区で住宅政策の画期的な実験をおこないます。
2番目は水素タウン、3番目はご当地検定というのがありますが、環境首都検定を充実させています。
4番目は低炭素とエコポイントを組み合わせたシステムの立案。数年前に北九州市で社会実験を行った成果を生かしていきます。そして5番目はアジア低炭素化センターで、来年にはスタートさせたいと考えています。 


鈴木
 芝浦特機では、集合住宅への太陽光発電で実績を挙げ、さらには電気自動車の開発にも取り組むということです。


新地
 私どもはもともと設備会社で、技術畑で仕事をしておりました。

 その中でデベロッパーや設計事務所にさまざまなCO2削減の提案をさせていただいていましたが、なかなか採用してもらえず、それならば自社で!ということで始めたのが環境対応マンション事業です。

 平成17年2月に1棟目が完成しましたが、その後、いままで全国どこにも後に続くところがありません。私どもの太陽光発電を備えたマンションは、集合住宅でありながら戸別に電力会社と売電・買電契約をするというものです。同じ電圧の中で売り買いすることでロスが少ないシステムであり、現在、スマートグリッドということで研究開発されているものですが、私どもでは既に5年前から実践しているんです。

 1戸あたりパネル10枚の割り当てなのですが、例えば昼間不在で電気を使わない家庭では、そこでたまった電力を同じマンションの中のほかの部屋に自動的に振り分け、マンションの中で売買を行っているのです。1戸ごとに売ったのがいくら、買ったのがいくら、という明細が出て、売った分については入金がありますから、入居者にとってはお得感があるのです。節約すれば入金が増えますから、自ずと節電モードになるのです。現在、太陽光発電を備えた賃貸マンションを合計320室提供していますが、光熱費の平均は3,636円です。これが今後はほぼ0円まで下がってくるでしょう。

 このシステムは、以前は特許申請していましたが、今は取り下げました。ほかに集合住宅での太陽光発電で成功している事例がなく、最近になってあちこちから注目されるようになり、今は全国から研修を受け入れています。

 電気自動車については、戸建て住宅と組み合わせた小規模発電システムを考えています。これは災害時の電力確保に有効なのです。昼間発電した電力を電気自動車に蓄電し、夜は電気自動車を電源として使うのです。既に実証実験に入っています。北九州学術研究都市とも連携して研究開発を進めているのです。