HISが引き継いだハウステンボス交渉の舞台裏7
撤退条件まで取り付け、満面の笑み
2月12日午後2時、HTBのホテルヨーロッパで開かれた経営支援基本合意の記者会見。朝長市長、金子前知事、松尾会長などの主役が勢ぞろいする中、真ん中に澤田会長が座った。HISが20億円、福岡経済界が10億円程度を出資して新会社を設立して、4月から経営を引き継ぐ。閉園を避けるため、奔走した朝長市長の横で最初は神妙な面持ちだった澤田会長だったが、HTBの再建案について水を向けられると、時折大きな身ぶりを交えながら延々と夢を語った。
「アジア最大のアウトレットモール」「コールセンター」「医療村」…。支援を決断した理由については、「みなさんの熱意、それとぼくの何とも言えない血。難しい案件に情熱を燃やす体質なので」と満面の笑みをみせた。それは、「撤退条件」まで取り付けた『条件闘争』に勝利した満足げな顔にもみえた。
3月26日に「中期経営計画」発表
HISは3月26日、向こう3年間の中期経営計画を発表した。
澤田会長は3月以降ほぼ現地に常駐し、陣頭指揮を執っている。強引なトップダウンで推し進め、人心が離れた野村PFの失敗を踏まえ、社員から意見を吸い上げながら計画を練っているという。だが、多額の更新・修繕費の問題は先送りにされたままだ。澤田会長は「10年間で世界一の観光ビジネスタウンにする」と壮大な夢に向かって走り続ける姿勢をみせるが、「今後3年間は仮免許のようなもの」と警戒する声もある。最後までしたたかだったカリスマ経営者の、再建の手腕に大きな注目が集まっている。
