環境共生都市を目指して官民一体の先進的取り組み7

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具体的には、産業から発生する廃熱など未利用エネルギーを他産業や隣接する生活圏で利用することや、工場、地域から生じる副産物・廃棄物を企業間でやりとりし資源化するなどの可能性について検討し、さらに、コンビナート内の水素供給ポテンシャルに着目し、今後の水素社会に向けた基盤づくりを行なっている。
このように、北九州市では、過去の蓄積を最大限に活用し、官民一体となり、環境問題に対する取り組みが積極的に行なわれている。世界に誇る環境先進都市として、今後のさらなる展開が期待される。
環境先進都市の核づくり
環境先進とモノづくりの2つの特性を融合させていこうというのが、北九州エコタウン事業。同事業では、「あらゆる廃棄物を他の産業分野の原料として活用し、最終的に廃棄物をゼロにすること(ゼロ・エミッション)」を目指し、資源循環型社会の構築を図っている。事業の中心地域である若松区響灘東部地区にはペットボトルリサイクル工場、家電品リサイクル工場などが立地し、実績を上げてきたが、04年には、対象地域を市域全体に拡大した。これは新たに、北九州エコ・コンビナート(都市レベルの資源・エネルギーの有効活用)というコンセプトが確立してきたことによる。
北九州市は、鉄鋼・化学などの大規模かつ多種多様な産業の集積による素材型産業コンビナートを形成し、立地企業は世界最高水準のエネルギー利用・物質転換技術を有している。現在でも、市内に立地する各企業においては、これらの技術を活用し、省資源・省エネルギーに取り組んでおり、大きな成果を挙げているが、企業単独の取り組みでは限界もある。
そこで、企業の枠組みを越えて連携することでコンビナートとしてのポテンシャルを最大限発揮し、省資源・省エネルギー、さらには、コンビナートとしての競争力強化につながる可能性を探るとともに、産業圏と生活圏との連携をも進め、先進的な資源・エネルギー循環型都市の構築を目指し「北九州エコ・コンビナート構想検討委員会」を設置した。
蓄積される環境技術
今回の「環境モデル都市」選定に至るには、高度成長期に発生した公害を、官民一体となって克服してきた北九州市の取り組みが前提になっていることは明らかだ。その過程においてはさまざまな技術や経験が蓄積されてきた。
表—1に示すとおり、北九州市に立地する企業には様々な環境技術が保有されている。
このように、モノづくりの街として栄えてきた北九州市ならではの環境技術の蓄積は、他の都市には見られない特性であり、これを活かして、産業、都市構造、地域コミュニティ等全てのまちづくりに「環境を機軸とした取り組み」を導入することとし、行政、企業、市民が一体となった「世界の環境首都づくり」を進めているのだ。
具体的な取り組みのための基本的考え方は、まず、市域においては200年街区形成などによる「ストック型都市構造への転換」を行うとし、工場の持つエネルギーインフラを都市インフラの観点から活用するとともに、低炭素貢献製品の技術・製造拠点化などを図る「次世代産業構造の構築」を目指す。また、「低炭素社会を支える人材の育成」によりストック型都市基盤を積極的に活かし、低炭素に資する産業技術・システムを創り出す。そして、取り組みを精緻に評価し、新しい価値観・文化を創造する「豊かな暮らしの創出」を行い、その成果を都市間環境外交を通じて、アジアの産業都市で拡大展開していこうというものだ。
こうした基本構想を具現化していく取り組みとしては、以下の3つの事業が計画されている。
(1)次世代エネルギー供給システム事業
全市的にエネルギー効率の向上を図る
次世代水素エネルギーモビリティや水素タウンの整備
(2)低炭素200年街区の整備
高齢者や子供たちが安全で安心して暮らせる低炭素の街づくり
政府の提唱する200年住宅、太陽光発電など
(3)アジア低炭素化センターの早期設置
国際環境協力を通じて低炭素化技術の指導、人材育成などを進める
また、数値目標としては、工業地域と市街地が近い特性を活かした「エネルギー利用の少ないコンパクト都市」づくりを進めて、市内のCO2の削減について、05年度の約1540万トンから50年には約800万トンへ削減する。つまり、約半分に削減するということだ。さらに、産業都市の特性を活かしアジアを中心に海外での環境技術移転も同時に進めていく。
環境モデル都市として認定
7月22日北九州市は「環境モデル都市」として選定された。
「環境モデル都市」とは、世界の先例となる「低炭素社会」への転換を進め、国際社会を先導していくという内閣の方針を受け、「都市と暮らしの発展プラン」(2008年1月29日地域活性化統合本部会合了承)で位置づけられた取り組み。選定した「環境モデル都市」の提案を実現し、当該都市・地域における温室効果ガスを大幅に削減することにより、統合アプローチによる低炭素社会の構築に向けた具体的な道筋と日本の将来像を示すものとしている。
今回は、応募のあった全国82件(89自治体)の提案の中から
〈1〉大幅なガス排出削減目標
〈2〉先駆性・モデル性
〈3〉地域適応性
〈4〉実現可能性
〈5〉持続性
の基準を満たす都市が選定された。
選ばれたのは、北九州市をはじめ、横浜市、富山市、帯広市・下川町(北海道)、水俣市(熊本県)の6つの自治体。これらの都市は、今後、環境モデル都市アクションプランの策定・実施に取り組む。そして、国は、環境モデル都市アクションプランの円滑な実施に向けて、環境モデル都市を推進するために関係省庁間においての連絡会議も活用し、新たな制度的枠組みの構築の検討を含め、総合的な支援を行うとともに、環境モデル都市の取り組みを国内外に波及させるため、施策の展開や情報の発信に努めるという。
「環境モデル都市」選定における北九州市の提案内容を要約してみよう。
まず、全体のテーマを、「成長するアジアの低炭素社会づくりを牽引する『アジアの環境フロンティア都市』の実現」とし、産学官民に備わる地域の環境力を結集し、「世代を越えて豊かさを貯蓄していくストック型社会の構築」を基本理念に置いている。
この将来像を実現していくための基本方針として
(1)産業都市としての低炭素社会づくりのあり方
(2)少子高齢化社会に対応した低炭素社会づくりのあり方
(3)アジアの低炭素化に向けての都市間環境外交のあり方
の3つの柱を据えた。
6月に開催されたG8(主要国首脳会議)洞爺湖サミットが環境サミットとも呼ばれていたように、今日環境問題への取り組みは地球規模での最優先課題となっている。今や環境先進都市として世界的評価を得るまでになった北九州市。市制45周年を迎え、環境モデル都市としての選定を受けるなど国内外からの注目を集めている北九州市の取り組みを紹介してみよう。
麻生福岡県知事は「本年度中に決断」
新福岡空港促進協議会は「新空港推進」の旗は降ろさないとしており、福商も新空港推進の立場を変えていない。麻生渡・福岡県知事は現在は白紙の立場としながらも、「本年度内に決断する」と明言している。
20年来続く福岡空港の将来像をめぐる論議が、検討の段階から決断の時期に差し掛かっていることだけは間違いない。
国交省のホンネは「増設新案」で決まり?
ステップ3で提示された建設費と工期は、概ね新設で1兆円ないし1兆1000億円、増設で2500億円から7500億円を見込み、工期についても新設で約13年、増設で8年ないし14年を想定した。この段階では、費用に対する増便効果も明確でなく、増設案の新設案に対する優位性もはっきりしていなかった。最もコストの低い「西側210メートル案」にしても、後方乱気流などの問題がネックとされていたからであった。
後方乱気流は航空機が着陸する際、両翼端から後方に渦巻状で発生する気流の乱れ。従来の「西側210メートル案」の場合、新滑走路が離陸専用で、しかも現滑走路より北側に200メートルずれていたので、北側からの進入機は離陸機の前方に着陸することになり、後方乱気流の影響を避けるため離陸を2分間程度待つ必要があった。
しかし、国交省が6月30日および8月7日の専門家会議に「西側210メートル案」を改良して提示した「増設新案」は両滑走路の北端をそろえたことで後方乱気流の問題も解消され、事業費も安く、発着回数の効果もあった。それに引き換え、新設案は代表案を提示しながら、一つに絞り切れていなかった。ここに来て、国交省のホンネは「増設新案」で、新設案は新設方針で譲らない地元経済界に配慮して残したに過ぎないと言われている。
地元経済界は新空港建設が前提
福岡空港については、国(国土交通省)・福岡県・福岡市でつくる福岡空港調査連絡調整会議で、総合的な調査に取り組んできた。総合調査では4段階に分け、ステップごとに調査結果などを住民らに公開し、それに対する意見などを集めている。ステップ3(2007年9月~08年1月)で、北九州、佐賀両空港との連携案を否定し、現空港の滑走路増設で3案、新空港建設では2ゾーンを提示していた。
これまでの20年近い議論はいずれも新空港建設が前提であっただけに、地元経済界は現空港における滑走路増設案が出てくるとは想定していなかった。福岡県内の主要企業71社で構成する新福岡空港促進協議会は07年12月、08年3月を目途に福岡空港の容量緩和対策についての意見集約を行うことを表明。4回の勉強会および意見交換会を実施して、空港新設案と滑走路増設案の是非を検討してきた。
その結果、①滑走路増設案では需要予測を超える容量緩和が期待しにくい②福岡空港が都心部に近接していることから建物の高さ制限がある(博多駅周辺地区は約50メートル、天神地区は約70メートル)③福岡空港が現在地にある限り借地料や騒音対策費がかかる—といった理由から、空港新設に向けて、データを収集し科学的な議論をしていくことにした。新設する場所として、総合調査のステップ3で示された三苫・新宮ゾーンと志賀島・奈多ゾーンを想定したが、明確な位置も事業費もこれからの検討課題であった。
福岡商工会議所も同じような理由で、新空港の建設を国や福岡県に要望した。
「三苫・新宮ゾーン」で、「セミオープンパラレル」も提案
新空港建設の代表案は玄界灘上の「三苫・新宮ゾーン」の水深12メートル地点を整備する。しかし、航空機の離着陸に悪影響を及ぼす横風が一定限度を超えない割合を示す「ウインドカバレッジ」の面では、「志賀島・奈多ゾーン」の水深13メートル案が勝っているとして、国交省はこの案の検討も継続し、場合によっては代表案とする可能性も残した。事業費は前者が新設案の中では最も低い約9200億円、後者がやや高い9700億円で、滑走路の処理容量はともに21万3000~22万6000回。
また、新空港案について新たに滑走路の間隔を広げて、間にターミナルビルを設置する「セミオープンパラレル」も提案しており、事業費は明らかになっていないが、従来の滑走路間が300メートルの新設案より1・2倍程度処理能力が上がるといわれている。