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打開策となるか?若者路線を強化する大手百貨店6

百貨店が若者戦略で成功する最低クリア5つの条件
 百貨店は中高年層を主力として売上高を確保してきたが、若者を戦略ターゲットにする場合、最低クリアしておかなければならない項目は次の通りと思われる。

1 既存顧客である中高年層の離反防止策を構築する必要がある
 若者路線を追求しすぎて、既存顧客を失ってしまえばなにもならない。特に、団塊の世代とそのジュニア、ジュニアの子供たちの人口比率が高いので留意する必要がある。要はこの3世代に対しての離反防止策を行って、若者路線を推進することが肝要だ。
 いかに中高年層が大切かという事例では、今年6月に開通した池袋、新宿などの繁華街を結ぶ東京メトロ副都心線。東武東上線、西武池袋線が乗り入れる沿線の商業施設の中で一番恩恵を受けるといわれた伊勢丹新宿本店の6月売上高対前年同月比は9・1%減と苦戦し新線効果をほとんど手にすることができなかった(7月は同2・6%増)。一方中高年層を主力ターゲットとする新宿駅南側の高島屋新宿店は、マイナス幅を同6・1%減(7月は同1・8%増)にとどめた。(表2参照)
 副都心線で新宿に流れてきた顧客は中高年層が多く、伊勢丹が狙ったやや若くて所得の高い層やファッションの伊勢丹が得意とする先端のファッションを求める層ではなかったと考えられる。この例からみても、いかに百貨店は中高年層の防止策を講じなければならないかが重要となってくる。
 古い話になるが、1975年11月博多大丸が地盤沈下で業績不振の時、呉服町(博多区)から天神(中央区)へ移転した。この時天神は若い人が多いのでターゲットを若者へシフトしすぎて失敗に終わった事例がある。

2 顧客・専門店のマーケティング分析による商品開発力の拡充
 ユニクロの例にあるように、顧客の不満・好み等の声を反映して、繊維メーカー等と提携し独自商品を開発することや自主編集売り場の構築が大切である。ただ、ブランドを集めた売り場ではなく、百貨店がどこまで掘り下げて顧客に訴えることができる自主開発売り場をつくれるかである。
 具体的には、今秋冬チェック柄が流行しそうだから品揃えを強化しようとか、ニットアップの品揃えを強化しようとかどこの店も考える一般的なことではない。もっと掘り下げてこの店にしかない特徴のある独自の売り場づくりである。このためにどれだけ優秀なバイヤーが育っているかがポイントとなる。少なくとも百貨店担当者はユニクロを含め大手専門店をもっと勉強する必要がある。例えば、ある百貨店婦人服担当者に、ポイントについて質問したら「釣具のポイントですか?」という的外れな答えが返ってくるほどだ。このように、ポイントやハニーズなどをあまり勉強していないと思われる。若者マーケットを知らずして売り場づくりはできないのである。

3 専門店から優秀販売員の引き抜き
 若者向け売り場ができたとしても販売員により成功の可否が左右される。一般的に百貨店はメーカー派遣の販売員で構成される“おまかせ売り場”となっている。このため、優秀販売員をいかに確保できるかが重要である。専門店から店長を引き抜くぐらいの覚悟は必要だ。このためには、中途採用で“ファッション人”を採用し新しい血を入れる必要がある。

4 若者ターゲットの組織化
 若者は「新聞を読まない」「おまけ(景品・特典)が好き」「一過性購買に終わる」ことなどに留意する必要がある。このため、新設フロアや売り場の「仲間意識を持ったOL組織化(クラブ化)」を行わないと失敗する恐れがある。
 イベント、特典つきのOLクラブをローコストで構築するため、異業種(映画館、旅行代理店……)とタイアップしたり、メーカーとタイアップしてポイント政策をとるなど独自の組織化が必要となる。例えば、売り場内でアフターファイブに開催する「メーカーと協賛した特別招待のファッションショー」、「食品メーカーとタイアップしたワイン会」、「地元文化サロン教室とタイアップしたミニトークショー」、「飲料メーカーとタイアップしたカップルで楽しめるミニイベント」、「旅行会社とタイアップした売り場主催の日帰り温泉旅行」……などである。

5 若者ターゲットへの告知はひとひねりを要す
 新設売り場の紹介をする場合、一般的に雑誌広告、折り込みチラシ、テレビ、インターネット等が考えられるが、これらの媒体に頼りすぎると失敗する可能性もある。2~3名の専門チームをつくりアナログ手法で「クチコミ政策」を行ってもよいと思われる。例えば、福岡市天神地区と博多駅地区の小売業を除くOLが働く会社への直接訪問PRである。この地区で1500社、1万5000名のファンができればしめたものである。
 最初は各企業を訪問し、百貨店のパンフレットを社内で配布してもらえるか、女性社員数、企業の窓口女性の名前を調査し、次回訪問時に直接手渡しする。個人情報の件で企業訪問は難しいのではという声もあるが、訪問した企業の65%が社内配布可能というデータがある。何度か訪問するうちに自社に対するお客の声が収集でき、窓口の女性と顔なじみとなって、各企業の窓口女性だけを集めたパーティなども開催できれば、まさに百貨店にとっての「オピニオンリーダー」となる。要は、各企業での「クチコミの核となる女性の確保」である。