九州全域が一丸となって取り組む「カーアイランド」づくり5
次世代交通システム「ITS実証地区」を誘致
―自動車関連産業への九州経済産業局としての取り組みは。
谷 「人財力の向上」「次世代技術力の向上」「域内調達力の向上」などの課題を掲げて、これまで製造中核人材育成事業、中小企業大学校による研修などを活用して高度人材・専門人材を育成してきました。また現在の域内調達率50%を70%に引き上げるために、様々な情報提供や支援事業をしてきました。今年度からは新しく次世代の自動車社会を切り拓くITS(高度道路交通システム)分野の技術開発などに取り組んでいくこととしています。
―ITSとは。
谷 広く一般に普及しているという点では今のところETC(自動料金収受システム)くらいしか実用化されていませんが、もともとITSとは車と道路をセンサーで結んだり無人自動車を走らせたりして、交通渋滞の緩和や、事故が起きないシステムづくりのことで、民間ベースでもかなり研究開発が進んでいます。将来的には60兆円産業ともいわれ、最近は標準化のための国際会議も開かれています。このITSを実際に道路でテストするための「ITS実証地区」を九州地域に誘致する準備を進めています。このように自動車は社会全体とのかかわりが深く、産業としての広がりがどんどん進展していきます。
―かつて九州は半導体産業の進出で「シリコンアイランド」と呼ばれましたが、一方では「頭脳なきシリコンアイランド」とも言われました。
谷 単なる組立工場であっては経済波及効果は限定的ですが、最近は動きが変わってきました。今年4月には日産車体の100%子会社でソフト開発のエヌシーエスが福岡市に九州オフィスを開設しました。日産としては神奈川県外では初の開発拠点です。トヨタ自動車九州は2010年に設計・開発拠点を宮田工場の敷地内に新設すると発表しました。またダイハツ九州も2010年4月に九州大学伊都キャンパスの隣接地に設計・開発を担う「開発センター」(仮称)を新設予定です。
このように九州に自動車づくりの頭脳拠点の集積が加速化され、開発と量産を一体に進める拠点として発展していくことが期待されます。また九州には半導体産業の実績があり、自動車と半導体、ソフトウェアが融合したカーエレクトロニクス産業分野の発展も期待できます。
