「天神VS博多駅」流通戦争15
販売促進力に弱い博多大丸
販売促進力とは、各百貨店のセールスプロモーション(SP)力である。SP力が、店舗への集客を左右するともいえる。
1980年代後半は「SPの大丸」と言われ、ミズ路線を構築した大丸は黄金時代を築いた。その後、相次ぐ天神流通戦争でのソラリア、イムズオープンに際しても一人勝ちしてきた。
地元流通関係者が驚愕した話題として、博多大丸が1日限りで実施した全館特別ご招待会に台風が直撃した出来事が挙げられる。台風直撃の当日は、とても招待客が来店できる状況ではなかっただけに、誰もが「博多大丸は広告経費のムダ使いだったなあ」「売り上げはとても無理だなあ・・・」と思っていた。
その矢先、当日の夕刊に「台風にはかないません。大丸は一日延長してお得意様ご招待会を実施いたします」という墨書の便箋大の小さなチラシを折り込んだ。このスピードの速さと企画力、販促力の結果、翌日は大勢の顧客が博多大丸へ詰め掛けて予想以上の売上高を上げるなど、街の話題となった。
流通関係者によると、現在の博多大丸のSP力は福岡市内の百貨店のなかでも弱く、博多大丸で開催していた花の展示会等は三越福岡店へ移っている。また、博多うまいもん市など地場に密着した催事も岩田屋で開催されている。
イベント開催時における「お買上げ条件付きスクラッチカード」は、いち早く博多大丸が実施したものの一貫性がなかったためか十分に浸透せず、今や後発である三越福岡店の「ライオン・スクラッチカード」の方が有名だ。
一方、カード戦略においても博多大丸としての明確なコンセプトがないためか、各玄関付近で自社カードを募集する一方で、パサージュ広場ではアメックスのカードを募集している光景が見かけられる。他社カードでの取り扱いが、自社カードよりもクレジット販売手数料が高いと思えないので、収益面におけるカードの重要性が分かっているかどうか怪しい。
また「10回分割金利手数料ナシ」の販売促進は法律上、百貨店は年2回(1回あたり10日間)しかできないため、各百貨店は広告媒体をはじめ、懸垂幕もふくめた告知に力を入れる。しかし、2007年10月開催した博多大丸のケースでは、どのような広告を打ったのか分からず、店内に入ってはじめて気づく程度だった。少なくともカード会員80万口座強を誇るとは思えない取り組みだけに、もっと告知を工夫すべきではなかろうか。
このように、博多大丸の販売促進は以前と比較すると弱体化しており、地元で話題を呼ぶような新しい企画が出てこないとささやかれている。
その一方、地元で話題となったのは、2007年10月に企画した「三越開店10周年」企画である。市民のドギモをぬくような超大型の新聞折り込みチラシをはじめ、イベントや商品などの豊富さが目をひいた。このような取り組みの結果、10月度の三越福岡の売上高は、対前年同月比で約5%増と大きな成果を上げた。また、福岡市内のホテルを会場に三越が毎年開催している総合廉売の催事は、毎回数千人規模の顧客を集め、福岡市内トップの集客力を誇っている。
岩田屋の広告戦略が緻密で、新聞折り込みでも催事別に地区を選別している観があり、広告の表現力も優れている。チラシを見れば、店名を見なくても岩田屋と分かるデザインを採用しており、中央の大手広告代理店と取り組んでいるのではないかと思われる。加えて、定番コレクション、探検九州フェア、池坊華道展、西日本陶芸美術展、大江戸のれん市などの名物催事を数多く有して、集客力を発揮している。
このような点を考慮して採点すれば、岩田屋、三越福岡店各3点、博多阪急は出店後の催事が不明のため2点、博多大丸は1点となる。(表3の採点集計参照)
