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2008年03月11日

「天神VS博多駅」流通戦争17

総合得点のトップは博多阪急が躍り出る
 
今回の採点は各百貨店を「強い、普通、弱い」の3つの観点からの評価であるが、一番評価の高い順に並べれば「博多阪急、岩田屋、三越福岡店、博多大丸」の順となった。(表3の採点集計表参照)
 
博多阪急に関しては、開店した初年度売上高目標である400億円突破の可能性は、極めて高いと想定できる。
 
一方、2008年春に統合する伊勢丹と三越の系列である岩田屋と三越福岡店は、店舗の近さを弱みではなく強みとして生かし、顧客管理の共有化などを通じて、相乗効果が期待できる。加えて、富裕層に強い三越福岡店がもつ美術関連の高額品を岩田屋外商部が販売し、さらに岩田屋が強いファッション商品を三越福岡店の外商部隊が販売することも可能となる。また、両店連合による共同販促として、あらたな広告戦略を構築すれば、広告の露出度や顧客の広告認知度などにおいて、圧倒的な強さを発揮するかもしれない。
 
もっとも、将来的には経営効率上、2店舗体制から1店舗に集約される可能性もある。この場合、現岩田屋の売場面積が4万8500平方メートルであり、三越福岡店が3万8000平方メートル規模のため、増床した総面積で最低5万平方メートル以上の売場面積が確保できるかがポイントと考えられる。
 
仮に現岩田屋に集結した場合、三越福岡店は専門店ビルへ業態転換する可能性もある。逆に現福岡三越が別館にある外商事務所やソラリアステージまでを売場として確保することで拡大ができれば、現岩田屋が業態転換する可能性もある。
 
一方、博多大丸は約40億円を投じて、2007年から3年間のリニューアルをスタートさせたが、ファッションに強い博多阪急や岩田屋とどこまで戦えるのか、そのカギは固定顧客づくりにかかっている。
 
また、カード特典がお買上高100円につき1ポイントというのも、博多大丸にとって大きなハンディである。大丸と松坂屋の統合後の固定顧客戦略では2008年9月に「カード体系を共通化し顧客の利便性を図る」計画となっている。このため、子会社である博多大丸にも「大丸本体のDAIMARUカード」を導入する可能性がある。
 
ただし、別会社であるために5ポイント制に引き上げるには、現在の財務力から推計して大幅な経費削減は避けて通れず、困難が予測される。将来的に株式会社博多大丸を解散して、大丸本体に吸収合併されれば、可能性も出てくる。いずれにしても、当面は別会社としてのカード戦略
の構築となる。大丸ゴールドカードの特典である年会費無料を有料にして、これまで期間限定で実施していた3ポイントを常時導入したとし
ても、同業他店に比べるとまだハンディは大きい。
 
このような検討を重ねた結果、「天神VS博多駅流通戦争」において、勝者となるのは「博多阪急」、もしくは「岩田屋―三越福岡店連合」のいずれかになるものと推測される。

《『九州経済倶楽部』は、地元のマスコミ、金融、流通、エネルギー、製造業などの個人会員で構成されている提言団体》

2008年03月10日

「天神VS博多駅」流通戦争16

文化性と文化発信力では三越福岡店と博多阪急が双璧
 
百貨店はただ「モノ」を並べて販売するだけではなく「コト」が重要である。「コト」とは「モノ」以外の分野であり、百貨店がどのような文化を発信して、生活提案に文化性があるかどうかがポイントになっている。
 
三越福岡店はオープン当初からミュージアムでの巨匠らの絵画展をはじめとする文化催事を開催した。これに対して、ミュージアムを持たない博多大丸は、三越と差別化を図った文化催事の路線として、主婦向けに「あいだみつお」「智恵子抄」のような「心」を打つようなコンセプトの文化催事を催事場で開催して、多くの顧客を集めたと言われている。
 
かつて「文化催事は大丸」というイメージが強かったものの、現在の博多大丸には文化催事のコンセプトがないためか、完全に三越福岡店の後塵を拝している。
 
博多駅に出店する阪急は、宝塚歌劇に代表される阪急東宝グループがもつ文化的イメージの強い百貨店である。博多出店に際しては、上層階の催事場に文化催事の併用ができるミュージアムを設け、有名作家による陶芸展や絵画展、さらに海外の巨匠の文化催事を開催して、JR駅ビルの強みを生かして、九州一円からの集客を狙ってくるであろう。
 
百貨店における文化性とは、なにも文化催事だけではない。店内で開催する「イベント」も重要である。例えば、売り場内で開催するミニコンサート、アフターファイブのOLらを対象としたワインパーティ付きの新作発表会、ファッションショー、ストーリー性のある景品販促、さらには伝統の技を披露した食品やリビング用品の実演、生活に役立つアイデア商品の実演など、数えれば切りがない。このような店内のイベントに関しては、岩田屋が注目を集め、広告媒体にもよく紹介されている。
 
要は、店内のいたる所で生活提案性のある文化があり、イベントなどを企画して実施しているかどうかが集客力に反映して、その結果として店のイメージに繋がるのである。以上を採点すると、三越福岡店、博多阪急各3点、岩田屋2点、博多大丸1点となる。(表3の採点集計参照)

2008年03月07日

「天神VS博多駅」流通戦争15

販売促進力に弱い博多大丸
 
販売促進力とは、各百貨店のセールスプロモーション(SP)力である。SP力が、店舗への集客を左右するともいえる。
 
1980年代後半は「SPの大丸」と言われ、ミズ路線を構築した大丸は黄金時代を築いた。その後、相次ぐ天神流通戦争でのソラリア、イムズオープンに際しても一人勝ちしてきた。
 
地元流通関係者が驚愕した話題として、博多大丸が1日限りで実施した全館特別ご招待会に台風が直撃した出来事が挙げられる。台風直撃の当日は、とても招待客が来店できる状況ではなかっただけに、誰もが「博多大丸は広告経費のムダ使いだったなあ」「売り上げはとても無理だなあ・・・」と思っていた。
 
その矢先、当日の夕刊に「台風にはかないません。大丸は一日延長してお得意様ご招待会を実施いたします」という墨書の便箋大の小さなチラシを折り込んだ。このスピードの速さと企画力、販促力の結果、翌日は大勢の顧客が博多大丸へ詰め掛けて予想以上の売上高を上げるなど、街の話題となった。
 
流通関係者によると、現在の博多大丸のSP力は福岡市内の百貨店のなかでも弱く、博多大丸で開催していた花の展示会等は三越福岡店へ移っている。また、博多うまいもん市など地場に密着した催事も岩田屋で開催されている。
 
イベント開催時における「お買上げ条件付きスクラッチカード」は、いち早く博多大丸が実施したものの一貫性がなかったためか十分に浸透せず、今や後発である三越福岡店の「ライオン・スクラッチカード」の方が有名だ。
 
一方、カード戦略においても博多大丸としての明確なコンセプトがないためか、各玄関付近で自社カードを募集する一方で、パサージュ広場ではアメックスのカードを募集している光景が見かけられる。他社カードでの取り扱いが、自社カードよりもクレジット販売手数料が高いと思えないので、収益面におけるカードの重要性が分かっているかどうか怪しい。
 
また「10回分割金利手数料ナシ」の販売促進は法律上、百貨店は年2回(1回あたり10日間)しかできないため、各百貨店は広告媒体をはじめ、懸垂幕もふくめた告知に力を入れる。しかし、2007年10月開催した博多大丸のケースでは、どのような広告を打ったのか分からず、店内に入ってはじめて気づく程度だった。少なくともカード会員80万口座強を誇るとは思えない取り組みだけに、もっと告知を工夫すべきではなかろうか。
 
このように、博多大丸の販売促進は以前と比較すると弱体化しており、地元で話題を呼ぶような新しい企画が出てこないとささやかれている。
 
その一方、地元で話題となったのは、2007年10月に企画した「三越開店10周年」企画である。市民のドギモをぬくような超大型の新聞折り込みチラシをはじめ、イベントや商品などの豊富さが目をひいた。このような取り組みの結果、10月度の三越福岡の売上高は、対前年同月比で約5%増と大きな成果を上げた。また、福岡市内のホテルを会場に三越が毎年開催している総合廉売の催事は、毎回数千人規模の顧客を集め、福岡市内トップの集客力を誇っている。
 
岩田屋の広告戦略が緻密で、新聞折り込みでも催事別に地区を選別している観があり、広告の表現力も優れている。チラシを見れば、店名を見なくても岩田屋と分かるデザインを採用しており、中央の大手広告代理店と取り組んでいるのではないかと思われる。加えて、定番コレクション、探検九州フェア、池坊華道展、西日本陶芸美術展、大江戸のれん市などの名物催事を数多く有して、集客力を発揮している。
 
このような点を考慮して採点すれば、岩田屋、三越福岡店各3点、博多阪急は出店後の催事が不明のため2点、博多大丸は1点となる。(表3の採点集計参照)

2008年03月06日

「天神VS博多駅」流通戦争14

カード特典力では博多阪急
 
各百貨店とも固定顧客づくりのため、カードの魅力化に取り組んでいる。現在岩田屋のAZクレジットカードは100円につき5ポイント制で年会費は2年目から1300円である。一方、三越福岡店の三越カードはお買上高から5%値引きで、年会費が2年目から2100円だ。また、博多大丸のゴールドカードは100円につき1ポイント制で年会費無料となっている。
 
博多大丸のポイントが一番低く、福岡内の百貨店のなかでも健闘していると思われる。これは博多大丸に全国でもめずらしいパート女性部隊(百数十名規模)による開発外商部という組織があり、来店促進を図っているからと言われている。
 
デジタル化して合理性を追求する時代になったものの、顧客の心をつかみ、来店につなげるには地道なアナログ的手法が、目に見えない効果があるといえる。
 
しかし、博多阪急が出店するとカード特典は福岡市内でトップとなる可能性が高いので今までの様相は一変する。阪急のペルソナカードは現金でもクレジットでは、年間買上高30万円未満でも翌年は5%、同30〜50万円未満では翌年7%、同50万円以上は翌年10%優待となっているからだ(年
会費は2100円)。特に博多阪急は開店1年前よりカード会員獲得をスタートさせ、10万口座を目標に攻めてくる可能性が高い。
 
福岡市内百貨店はこれに対抗してポイントアップに取り組んでくると思われるが、阪急のようなポイントを設定すれば、経費負担増となって経営を圧迫するため、困難と思われる。よって採点すれば博多阪急3点、岩田屋、三越福岡店各2点、博多大丸1点となる。(表3の採点集計参照)

2008年03月05日

「天神VS博多駅」流通戦争13

甦るか、博多大丸外商部
 
2006年度(2006年3月〜2007年2月)における福岡市内の3百貨店の外商部売上高は推定で、岩田屋
約180億円(対前年同期比0・5%増)、博多大丸約110億円(同約4%減)、三越福岡店約62億円(同約
5%増)と博多大丸と三越福岡店の売上高を合計しても岩田屋が高く圧倒的な強さを誇っている。(表2 2006年度地元3百貨店外商部推定売上高参照)
 
対前期比で岩田屋、三越福岡店がともにプラスであるのに対して、博多大丸のみが唯一マイナスであった。三越福岡店は約5%増と高い伸び率を示し、特に2007年上期(3〜8月)売上高は約32億円、対前年同期比11%増と福岡市内百貨店の中でも、極めて高い伸び率となっている。
 
限られたマーケットのなかで、博多大丸の外商顧客を三越福岡店と岩田屋が獲得したためと考えられる。特に各店の外商顧客の特典は三越福岡店が7%値引き、岩田屋がマイポイント制で期間を限定して買い物額の10ポイント(通常5ポイント)に対して、博多大丸は買い物額の1ポイントであることが不利な状況になったと考えられる。
 
また外商担当者の一人当たり年間売上高は岩田屋、三越福岡店とも2億円を超し、博多大丸のみが1億6000万台と推定される。この点に関して「博多大丸は、たった1ポイントで良く戦っている」と同業他店の評価は極めて高いという。
 
福岡市内における百貨店外商戦争のなか、博多大丸は2007年秋より反攻作戦をスタートさせた。優良顧客(年間買上高100万円以上)に対して、買上高100円につき5ポイント制を導入したのだ。この結果、岩田屋や三越福岡店に奪われていた外商顧客を取り戻して、博多阪急の開店までに強固な外商部へ生まれ変わるであろう。そして、売上高も岩田屋に接近して、場合によってはオーバーする可能性を秘めている。
 
この結果、採点は成長性の高い博多大丸が3点、岩田屋、三越福岡店が各2点、博多阪急はポイントを武器に外商部をつくる可能性があるものの未知数のため1点となる。(表3の採点集計参照)

2008年03月04日

「天神VS博多駅」流通戦争12

店舗環境、商品陳列のトップは岩田屋
 
百貨店の営業基本計画における三要素といえば、商品政策(MD)、サービス、環境と言われている。この3つが核となり、カード戦略、外商戦略、販売促進戦略・・・・などの営業戦略が加わって、店舗のイメージを形成して、最終的に売上高に結びつくのだ。
 
環境は「いかにホッとする空間であるか」「非日常的空間の装いがあるかどうか」「見やすく、買いやすい売り場づくりになっているか」である。この環境空間づくりは新店舗ほど、時代に合わせた環境ができるので有利と言われている。しかし、既存の古い店舗でも空間づくりと見やすく買いやすい売り場づくりは大変重要である。
 
特に百貨店は「イメージ」形成を大切にしており、店内に入った来店客に対して、何を訴求しているのかが、大きなポイントとなる。このため、どこの店舗でも玄関付近にはステージが置かれ、もっとも訴えたいビジュアルを展開している。
 
店舗の入り口付近だけではなく、各フロアにおいても同様にビジュアルを展開し、さらに売り場内においても展開している。つまり、その店舗は何を発信したいのかをしっかりビジュアルで見せて、各売り場ではそれぞれの商品を販売していくのである。
 
売り場内の陳列においても、同系色の色でも左から右方向へ明るい色から暗い色へと陳列し、上から下へ向けて明るい色から暗い色へ陳列するなど、見やすく買いやすい陳列を心掛けている。
 
この環境づくりで採点をすると、岩田屋、博多阪急が3点、博多大丸2点、三越福岡店1点となる。(表3の採点集計参照)

2008年03月03日

「天神VS博多駅」流通戦争11

人的サービス力は博多大丸がトップ
 
百貨店の基本になる人的サービスについて、各百貨店とも力を入れるのは当たり前である。特に百貨店は、スーパーマーケットと異なり、対面販売が主力であるためにサービス度によって、来店客は販売員の顧客となり、結果として百貨店のファンとなる。百貨店の販売員の多くはメーカーや取引先からの派遣店員によって構成されており、この派遣元の企業との力関係によって、現場のサービス力の差は開いてしまう。
 
現在、福岡市内の3百貨店のなかでサービス面において、評価が高いのは博多大丸である。博多大丸の来店客がミセスからシルバーが主力を占めるなか、この層から高い支持を得ている。一方、岩田屋は30~40歳代に強く、三越福岡店は富裕層や男性に強いと言われている。今後、岩田屋が、伊勢丹のノウハウ、つまり優秀販売員の確保とその育成を通じて、サービス力が上がってくるであろう。なぜなら、メーカーや取引先の派遣店員をいかに数多く確保し、育成していくかが店の売り上げに直結するからである。このため、全ての販売員を対象にサービス表彰を毎月実施する店もあるほどだ。
 
博多阪急はまだ店舗はオープンしていないため、普通評価とした。この結果採点は博多大丸、岩田屋各3点、三越福岡店、博多阪急各2点となる。(表3の採点集計参照)